NTTコム、北海道でドローンとAIで牧草地の雑草をピンポイント除草する実証実験

農薬のピンポイント散布の様子。セクションコントロールスプレーヤー(左)、小型農薬散布ロボット

NTTコミュニケーションズ(NTTコム)は9月20日、清和農場、ホクレン農業協同組合連合会(ホクレン)、ビコンジャパン、ホクサン、釧路丹頂農業協同組合(JAくしろ丹頂)と、牧草地の雑草をドローン空撮画像とAI(人工知能)画像認識技術で検知し、セクションコントロールスプレーヤーや農薬散布ドローン、小型農薬散布ロボットを使い、ピンポイントで除草する技術の実証実験を開始すると発表した。

実証は、北海道の清和農場で、ドローン空撮画像とAI画像認識技術を活用した牧草地の雑草検出・位置特定、部分散布可能な作業機械を使った特定エリアに対して自動農薬散布での除草を実験する。

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各者の役割

NTTコムがプロジェクト全体の統括やフィールド実証、実証技術システムの提供を担当。清和農場が実験場となる牧草地、農薬散布用トラクター、生産・経営データの提供などを行う。ホクレンは雑草検出精度と除草効果の検証などの業務、ビコンジャパンはセクションコントロールスプレーヤーの提供・運用、ホクサンは、散布農薬の提供、JAくしろ丹頂は農業生産者への情報提供・収集を、それぞれ担当する。

NTTコムなどによると、牛の飼料となる牧草の生産で、雑草は牧草の生育を阻害するだけでなく、乳牛が誤って口にすることで搾乳量の低下につながり、大きな課題となっているという。

NTTコムでは、これまでドローン空撮画像とAI画像認識による雑草検知で、高い精度で雑草検知に成功しているが、検知した雑草への対策では、広大な牧草地全体への農薬散布や人手によるピンポイント散布など対処方法が限られており、農薬のコストや散布する稼働の面から対策が難航しているとしている。

この課題解決に向け、今回、検知した雑草に対し、セクションコントロールスプレーヤーや農薬散布ドローン、小型農薬散布ロボットを活用し、雑草が繁茂しているエリアにピンポイントで自動農薬散布を行う技術の確立に向け実証実験を行うことにした。実証は国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構が公募した「戦略的スマート農業技術の実証・実装」で選定された。

6者は、雑草にピンポイントで自動農薬散布が可能となることで、除草の農薬コストや散布稼働の大幅な削減が見込めるとしている。今後は、実証実験を通じて得た知見を基に、早期のサービス提供を目指す。また、デジタル技術の活用した農業でのDX(デジタルトランスフォーメーション)を実現することで、人手不足や収益向上などの農業の課題解決に取り組む。