セイノーHDなど5社、大分・宇佐市でレベル3.5飛行のドローン配送の実証実験

救援物資の入った箱を切離して飛び去る物流専用ドローン

セイノーホールディングス(HD)は2月21日、大分県、大分県宇佐市、エアロネクスト、ネクストデリバリー、KDDIスマートドローン、電通九州と、宇佐市で、道の駅を活用した九州初という「レベル3.5飛行」でのドローン配送の実証実験を、2月2日に実施したと発表した。

「レベル3.5」の飛行は、ドローンのカメラによる歩行者などの有無を確認するデジタル技術を活用することで、補助者や看板の配置といった立ち入り管理措置を撤廃し、無人航空機の操縦ライセンス保有と保険加入すれば道路や鉄道などの横断飛行を行える制度。ドローンの運用コスト削減と業務の効率化につながると期待されている。

ネクストデリバリーは、23年12月にレベル3.5の飛行承認を取得。12月に北海道上士幌町で、同レベルでのドローン配送を実施しており、今回、宇佐市でもレベル3.5飛行でドローン配送を行うことにした。

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(左から)和田悟・セイノーHD事業推進部ラストワンマイル推進チーム新スマート物流推進プロジェクト課長、高野信一・大分県商工観光労働部理事、是永修治・宇佐市長、田路圭輔・エアロネクスト代表取締役CEO/ネクストデリバリー代表取締役、大庭郁夫・電通九州地域価値共創局局次長

今回の実証実験は、買い物の課題と災害時の物資輸送を想定して実施。機体はエアロネクストが開発した物流専用ドローン「AirTruck(エアトラック)」を使用し、機体の制御には、KDDIスマートドローンのモバイル通信で機体の遠隔制御・自律飛行を行うシステム「スマートドローンツールズ」の運航管理機能を活用した。

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ドローン配送された支援物資を確認する住民(余温泉)

具体的には、東院内地区公民館から両川地区公民館までの片道で約7㎞の約15分の距離を、食料品を搭載したドローンが配送。また、東院内地区公民館から余温泉までの片道約6㎞をレベル3.5の飛行で約14分をかけて救援物資をドローンで届けた。

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ドローン配送で余温泉まで届けられた救援物資

実験の結果、レベル3.5飛行で、補助員5名が不要なる省人化と、看板設置、撤去の作業が不要となる効率化の効果を確かめた。また、飛行ルート上の電波状況が途切れることなく、機体カメラでの歩行者などの視認も問題がなく、実装を見据えた運航が可能であることを確認した。加えて、有事に活用できる飛行ルートも開通できたという。

セイノーHDなどは今後も地域住民への理解促進と地域課題解決に向けて、ドローン配送を始め、ドローンの配送と陸上配送を組み合わせた物流サービス「SkyHub(スカイハブ)」の社会実装の検討を進めていくとしている。