三菱食品は2月28日、米国で受粉作物の植物工場を展開するスタートアップのオイシイファームコーポレーション(ニュージャージー州)に、500万ドル(約7.2億円)を出資したと発表した。
オイシイファームは、日本の種苗・ハウス栽培・受粉などの農業技術と、ロボットや最新デジタル技術を活用した植物工場を開発・運営し、イチゴを中心とした受粉農作物を生産・販売するスタートアップ企業。技術的に最も難易度が高いといわれるイチゴを、完全閉鎖型の植物工場で大規模生産することに成功した。
同社の工場では、日本の高い農業技術とAI(人工知能)など最先端のデジタル技術を融合し植物工場に最適な品種選抜や肥培管理、蜂による自然受粉、果実の糖度管理、ロボット収穫などを行い、年間を通じて価格変動の少ない、均一に高品質なイチゴを安定した収量で計画的に生産し、消費者に提供している。
三菱食品は、新しい機能の獲得や新規の事業領域の取り組みでスタートアップとのオープンイノベーションを積極的に推進。オイシイファームの技術がイチゴ以外の受粉農産物にも技術の転用可能なことや、将来的には地球温暖化など環境変化で収穫量減に課題を抱える農産物の安定供給に役立つ、さらに、再生可能エネルギーを活用しながら節水と無農薬で作物を栽培するモデルが、今後、米国だけではなく、日本や世界でも求められると見込み、出資を決めた。
オイシイファームでは、調達した資金を植物工場の建設と運転資金で使用する。三菱食品では出資に加え、日本を含むアジアでの展開に向けた市場調査や販売などで協業を推進。同社の取り組みを支援する。