パナソニックコネクトは3月8日、ロボットハンドやロボットアームなどのロボット制御技術とセンシング技術、AI(人工知能)技術を組み合わせ一元制御可能な物流倉庫の作業用ロボット制御プラットフォーム(PF)「ロボット制御プラットフォーム」を開発したと発表した。
「ロボット制御プラットフォーム」は、パナソニックが開発した商品を倉庫から出荷するピッキング作業を行う「ロボットハンド制御技術」と、市販のロボットアーム、センシングやカメラなど、物流倉庫でのピッキング業務を行う多様なロボットシステムを一元制御が可能なオープンなプラットフォーム。
ロボットハンド、ロボットアーム、カメラなど複数のハードウェアを組み合わせた形でのロボット導入が容易になるほか、パナソニックが開発したロボットの吸着ハンドやグリッパーの制御技術と、カメラでのセンシング技術の組み合わせを切り替えることで、倉庫内で変動する多様な商品に対応が可能。
センシング技術は「学習レス方式」を採用。従来のセンシング方式は、商品ごとに学習データを収集し、ピッキング位置の学習が必要だったが、新方式は、ピッキング特性が類似する商品形状をカテゴライズすることで、ピッキング対象の3D形状から位置の推定ができるため、学習を不要にした。
また、現場作業者が、ロボットの専門業者を依頼することなく、必要な作業を自身で設定できるユーザーインターフェイスを用意。
ロボットハンド、ロボットアーム、カメラなどをタブレット上で選択するだけで、ピッキング作業の設定を変更できる。ロボットのピッキング動作を規定するレシピの変更も可能で、レシピを再利用すれば、レイアウト変更などに伴うロボットハンドやアームによるタスクの設定変更が現場作業者だけで行え、ロボットの専門スキルを持つシステム開発者の確保が不要になる。
PFは、パナソニックが開発を進めるトラックの荷待ち時間を削減するオープンプラットフォーム「タスク最適化エンジン(仮称)」を使用することで、同社子会社の米ブルーヨンダーの上位サプライマネージメントシステムと連携も可能。上位システムからの入出荷情報や倉庫内の(自律走行搬送ロボット)の制御が行える。
従来のロボット導入には専門のスキルを持つ人間が不可欠で、ロボットの作業の設定に
半日から1日、導入施工には1~2カ月が必要で時間とコストの点から企業側の負担が大きいことが課題となっていた。パナソニックではPFで現場作業者が手軽に運用できるなどの機能を提供することで課題解決につなげる。
パナソニックコネクトでは本PFを多くのロボット関連企業に活用してもらい、物流現場でのロボット導入の敷居を下げることで、業務の効率化に加えて新たなイノベーションを生み出したい狙い。