シャープは9月2日、東北大学と、量子コンピューティング技術の「量子アニーリング」を応用し、1000台規模の自動搬送ロボットを同時制御可能なエンジンを開発したと発表した。
「量子アニーリング」は、量子コンピューターの技術を使って、膨大な選択肢から最適解を選び出す「組み合わせ最適化問題」を超高速で処理する計算技術。シャープと東北大は、量子アニーリングの計算方法を、汎用(はんよう)コンピューター上で疑似的に再現する「シミュレーテッド量子アニーリング(SQA)」技術の活用することで、これまで計算量が膨大で実現が困難だった1000台規模の自動搬送ロボットの最適経路を生成する計算エンジン開発に成功した。
2者は開発した計算エンジンにAI(人工知能)を組み合わせた、大規模物流倉庫向けアプリケーションの研究も開始。研究を通じて、AIを使い、商品の需要予測から入出庫管理、商品と作業者配置までを最適化することで、入出庫フロー全体の生産性を向上するソリューションの開発する。ソリューションは2026年度中に性能評価や実証実験を行い、2027年度内の実用化を目指す。
また、開発した計算エンジンの高性能化とアプリケーション開発の研究は、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「量子・古典ハイブリッド技術のサイバー・フィジカル開発事業」に採択された。事業期間は、2023年~2027年度を予定する。