リベラウェア(千葉市)は11月8日、狭小空間点検ドローン「IBIS2」の放射線照射試験を実施し、高放射線環境で集積吸収線量が約300Gy(グレイ、放射線から受けるエネルギー量を示す単位で吸収線量)でも動作することで確認したと発表した。ドローン単体の放射線照射試験は世界初という。
試験では、2台の「IBIS2」を対象に、プロペラを逆向きにセッティングした状態でドローンの飛行を防止しながら、スイッチング電源を使ったDC給電を行い、毎時で約50Gyの照射線量率で放射線照射を実施した。照射中は、定期的にIBIS2の動作確認を行い、ドローンが破損するまで試験を継続した。
試験の結果、306Gy照射後の動作確認で、操作信号の受信エラーを確認した。照射試験終了後のログ解析では、292Gyと298Gyで故障していることが分かった。一方、故障するまでの動作確認では、カメラに一部ノイズを確認したが、そのほかのセンサーは正常に動作することを確かめた。
今回の試験は、資源エネルギー庁の委託事業「令和5年度原子力産業基盤強化事業委託費(一般産業用工業品の放射線環境下の使用指針の整備事業)」のなかで、神戸製鋼所と共に行った。リベラウェアでは今後、今回の試験で測定対象としなかった中継器アンテナの追加試験を実施し、放射線環境下での挙動を明らかにする考え。また、放射線下でのドローン搭載センサーの精度向上に向けた取り組みも進める。