
テラドローンは6月17日、三井海洋開発と、FPSO(浮体式海洋石油・ガス生産貯蔵積出設備)の原油貯蔵タンク内部を「Terra UTドローン」で非破壊検査する共同研究開発の契約更新に合意したと発表した。
「Terra UTドローン」は、鋼製のタンク内壁の板厚を非破壊で測定する産業用ドローン。テラドローンが開発した。搭載する超音波センサーからの反射波を解析することで、腐食状況や減肉を定量的に評価する。
原油貯蔵タンクの内壁の固着した砂などの不純物や油分(ワックス)などを測定前にケレンブラシで表面を清掃し、測定面を平滑に整え、超音波の伝播を助ける検査用ジェルを塗布し、センサーをタンク内壁に接触させて測定を行う。複数箇所で同じ作業を繰り返し、広範囲で内壁の状態を把握できる。
2社は2024年に契約を締結。超音波センサーの改良による測定精度の向上、ガス検知器搭載での点検作業の安全性強化、ケレンブラシの高性能化で、不純物や油分の除去効率を向上し、最大で従来の10倍以上の検査作業を同じ時間内に実現、有線ケーブルの常時給電で、バッテリー交換を不要にして検査中のドローンの着陸回数を従来の10分の1に削減といった測定精度向上や安全性強化、作業時間短縮などで成果を上げてきた。
今回の契約更新で、さらなる技術の実用化と運用拡大に取り組む。具体的には「機体構造・設計の最適化」と「新しい計測技術の開発」を追加。
「機体構造・設計の最適化」は、高解像度カメラ搭載での目視点検機能の強化、メンテナンス性を考慮した機体設計の見直し、有線ケーブル高耐久化での堅牢性向上とケーブル延長で、より巨大なタンクへの適応拡大、有線ケーブルシステムの防爆対応推進、航空輸送に対応した機体設計を行う。一方、「新しい計測技術の開発」では検査用ジェルを必要としない計測方式の導入で作業効率の一層の向上を目指す。
テラドローンは今後、三井海洋開発と、契約を通じて開発するドローン検査技術を広く業界に浸透させる考え。「Terra UTドローン」の改良と運用効率向上も進める。