日立、フィジカルAIの制御ソフト開発を効率化、自動車で統合テスト工数43％削減

日立製作所は12月24日、AI（人工知能）が機械やロボットを自律制御する技術「フィジカルAI」の制御ソフトウエア開発効率化と再利用性向上の技術を開発したと発表した。自動車分野で、生成AIに実機固有のAPI（アプリケーション・プログラミング・インターフェース）情報を取り込むことで実機向けテストスクリプトを自動生成し、統合テスト工数を43％削減。物流分野では、現場の変動要素を事前分析してアーキテクチャ設計に反映し、自律ロボット制御ソフトウエアの再利用性と現場作業効率を高めたという。

自動車分野の技術は、日立と、モビリティソリューションのAstemo（アストモ、東京・千代田区）が共同開発した。自然言語で記述されたテストケース仕様から、実機固有のAPI情報や現場ノウハウを生成AIに取り込み、統合テストスクリプトを自動生成する仕組みで、マルチコアECUの統合テストを対象としたパイロットプロジェクトで工数を43％削減した。

一方、物流分野では、工場や物流センターで生じる製品・環境・作業内容などの変動要素を分析し、機能モデルとして整理して管理する「変動性管理技術」を開発した。ロボット制御ソフトウエアをモジュール化し、ROS（ロボット・オペレーティング・システム）上で動くノードとして実装することで、新商品やピッキング条件の変更などにも迅速に対応できるようにし、再利用性を高めた。現場エンジニアやロボットオペレーターへのインタビュー、実証実験を通じて設定作業の効率向上も確認した。

日立は今後、制御ソフトウエア開発の効率化と現場作業者の負荷軽減する技術として自動車や物流分野以外にも、さまざまな社会インフラに展開する。