ソフトウエア開発のABC(名古屋市)は12月1日、映像からAI(人工知能)が判断し機器を制御する VLM(ビジョン・ランゲージ・モデル)技術を応用し、いちごの自動受粉と自動収穫を行うロボットの研究開発プロジェクトを開始したと発表した。
自社開発のVLM基盤「Cultiva(カルティバ)」を軸に開発する。「Cultiva」はいちごハウス内をドローン撮影し、うどんこ病などの病気の検出と出荷時期の予想のために開発されたソフトウエア。
今回のプロジェクトでは、VLM基盤を使って、ロボットアームに搭載したカメラ映像をもとに、果実や花の状態をAIが認識し、成熟度や受粉状況を判断し、軌道や把持動作を自動生成する。現在、比較的安価な市販ロボットアームを用いたPoCを進め、収穫動作の安定性を検証している。
AI認知と制御はクラウド依存とせず、すべて現場側で完結させるローカル実行を採用。米テンストレントのAIアクセラレータ「Blackhole p100a」を採用し、LLMとVLMをローカルで処理することで、通信環境に左右されない安定した動作を実現する。
映像データは外部に送信せずに処理することで、セキュリティーを担保する。量産段階を意識したコスト最適化を図るアーキテクチャ設計を採用しており、安価で再現性の高い農業ロボットを開発。2028年までに量産体制の構築を目指す。
ABCは、AIがゲーム映像を理解してコントローラーを操作するeスポーツ事業で、映像入力から判断、操作までを行うAI制御システムを開発する。
今回、次のステップとして開発した技術をロボットアームに適用し、いちごの自動受粉と自動収穫へ展開することにした。今後は、ロボットアームやエンドエフェクタのメーカー、カメラやセンサー企業、農業分野での実証フィールドを持つ事業者との協業を進める。








