立命館大学発ロボットスタートアップの人機一体(滋賀・草津市)は7月17日、鉄道設備メンテナンスロボット「多機能鉄道重機」を、西日本旅客鉄道(JR西日本)が営業線の設備メンテナンスで、7月から導入したと発表した。
「多機能鉄道重機」は、JR西日本、日本信号と共同で手掛けた高所重作業ロボットのPoC(概念実証)試作機「零式人機 ver.2.0」をベースに開発。試作機で使用されている人機一体の特許技術などのライセンスを日本信号に提供し製品化した。
ロボットは、人に代わって重作業を行なう人型重機、人型重機の広範囲移動を担うブーム、人型重機、ブームの操縦装置を装備した操縦室、道路と線路が走行可能な鉄道工事用車両で構成。人が安全な場所に設置された操縦席から人型重機を遠隔操作することで、危険な高所に登ることなく高所重作業を行なうことができる。
直感的な操作や塗装や伐採など多様な作業に特化したツールの装備、遠隔操作で最大40kgの重量物の把持、12mまでの高所作業、VR(仮想現実)ゴーグルを使ってロボット目線での作業が可能。JR西日本では、当面は架線支持物の塗装と支障樹木伐採で使用。並行してツール開発も行い、対象作業も拡充する。運用は西日本電気システムが担当する。
人機一体では今後、他分野の高所重作業の機械化に向けた展開も目指す。土木分野で竹中土木、電力分野では東北電力ネットワークとの共同研究開発を進めており、順次実証試験を実施していく計画。