デロイトトーマツコンサルティングは10月12日、JAアグリサポートふたば(福島・富岡町)、福島さくら農業協同組合(福島・郡山市)と、ドローンなどを活用したデータ駆動型農業の実現に向けたブロッコリーの実証栽培を福島県富岡町で開始したと発表した。
実証栽培では、ドローンやマルチスペクトルカメラを使用し、成長定量化・収穫適期判断、福島県浜通り地域の栽培環境に適した品種探索で品種間比較、加工用ブロッコリーに適した品種の検討、センサーや土壌分析を活用した生育要因分析など、園芸作物生育最適化に向けた取り組みを行う。
具体的には、ドローンを利用し、ブロッコリーの画像を上空から撮影。AI(人工知能)の画像解析でブロッコリーの成長状態の可視化する。また、マルチスペクトルカメラで、人間には見ることができない近赤外線画像を取得し、成長の度合いを定量的に判断する。
品種間比較では、通常浜通り地域で育てられ12月頃収穫される品種に加え、2月頃に収穫可能な複数の品種も定植。虫が少ない冬の時期に収穫可能な加工用に向いた品種を浜通り地域で栽培するための実証を行う。
さらに、実証で得られたドローン画像から、ドローンを飛ばしていない圃場でも、衛星画像などから圃場の様子を生成AIで分析し予測する取り組みも実施する。
取り組みを通じて、将来的には、ドローンなどの機器がなくても、誰でも生育判断や土壌水分、肥料の状態判断を可能にするとともに、どのような環境・地域・圃場でも最適な環境をシミュレーションできるバーチャルシミュレーターの開発を目指し、実用化や汎用化に向けた作業も進める。
デロイトトーマツは、福島県で東日本大震災以降、震災や原子力災害からの復興支援をしており、特に農業分野では、浜通り地域の営農再開や、農業の課題解決のサポートを行っている。同社では、今回の実証栽培を通じて、より一層の課題解決に寄与していくとしている。