東芝エネルギーシステムズ(東芝ESS)は11月29日、四国風力発電の僧都(そうず)ウィンドシステム(愛媛県南宇和郡愛南町)で、ドローンを使った15MW級風車ブレードの完全自動点検に必要な技術評価の実証試験を実施したと発表した。
実証では、点検用ドローンが飛行しながら、風車位置からナセルの向き、ブレードの静止位置を自ら検出。同時に波や風で揺れる風車ブレードに自動追従し、点検用の画像を撮影する完全な自動点検を実現するための要素技術の検証を行った。
実証の結果、点検用ドローンが飛行しながら、風車の位置や向き、ブレードの停止位置を自ら検出し、併せて波や風で揺れる風車ブレードを自動追従し、画像を撮影する完全自動点検のめどが立ったという。
東芝ESSによると、従来ドローンでの点検は、風車の正面位置などのスタート地点にドローンを手動で移動させる必要があった。今回、ナセルの向きとブレードの静止位置を把握できたことで、スタート地点への移動も自動化され、完全自動点検に必要な技術評価も完了できた。
今回の実証は、NEDO(エネルギー・産業技術総合開発機構)が助成するグリーンイノベーション基金事業の「洋上風力発電の低コスト化」プロジェクトの一環で行った。
今後は、2024年2月までに完全自動点検完了を目指す。24年2月の検証では、ドローンが旋回飛行しながら画像を撮影し、同時に処理することで正面位置とブレードの角度を認識し、自ら移動して検査する完全自動点検の実現性を確認する。
東芝ESSでは、完全自動点検が実用化されれば、定期点検や、落雷などで風車ブレードに異常が検知された場合でも、保守員が風車まで行かずに点検が可能となり、風車まで保守員を送り届ける輸送費や人件費のコスト削減と、保守員の人材不足への対処も見込めるとしている。