首都高速道路は2月1日、首都高技術、ジェイドローン(東京・新宿区)、NTTコミュニケーションズ(NTTコム)、KDDIと、災害時などでの確実な点検手法の確立を目的に、ドローンとドローンポートを使った自動飛行の実証実験を首都高速道路の「五色桜大橋」「小松川斜張橋」「レインボーブリッジ」の長大橋3橋で1月25日に実施したと発表した。首都高では初という。
実証は、自動でドローンの離着陸と充電ができるドローンポートを利用し、事前に橋梁付近でドローンを設置して、自動飛行するドローンの映像を基に、首都高の本社(東京・千代田区)の災害対策室から橋梁点検を実施。実験の結果、遠隔地からドローンで点検ができることを確認した。
具体的には、ドローンポート対応型ドローンを使用し、首都高本社から点検開始の指示操作。ドローンがドローンポートから自動で離陸し、対象の長大橋周辺を自動飛行しながら安定した映像を遠隔地にリアルタイムで配信した。その後、首都高本社からの帰還指示の操作でドローンがポートに自動で着陸した。
ドローンは、実際の災害時の利用を想定し複数の通信方法を準備した自動飛行を実施。NTTコムはモバイルWi-Fiの通信を主として、バックアップに米スペースXの衛星通信網「スターリンク」を利用した。また、ジェイドローン、KDDIは「スターリンク」の通信をメインにして、バックアップにモバイルWi-Fiを使用した。
首都高では、大規模災害発生時に、迅速な点検で早期の道路啓開を目指し、これまでドローンを活用した点検手法を検討。今回、災害発生時に実施する高架下からの目視点検で損傷を見つけにくい長大橋を対象に、ドローンの自動飛行を活用した点検の迅速化と確実化の検証を行った。
同社では実証の結果から、長大橋で遠隔地からの自動点検でドローンポートの有効性を確かめた。一方、現場の通信環境がリアルタイムの映像品質に大きく影響を与えることも分かったことから、今後はドローンに最適な通信環境の構築も含めた検討を進める。同時に、迅速で確実に点検を行う多様な点検手法の確立と体制構築にも取り組む。