ブルーイノベーションは5月30日、北陸電力送配電が、管内の架空地線の点検業務で、送電線ドローン点検ソリューション「BEPライン」の導入検証を実施したと発表した。北陸電力送配電が架空地線点検でドローンを導入検証するのは初という。
「架空地線」は、雷撃から送電線や配電線を保護するため、雷撃を遮蔽するため電線上部に架設する接地線で、送電線・配電線の最上部に架空敷設し、送電線への直撃雷を防ぐ役割を果たす。
北陸電力送配電では、落雷による架空地線の素線切れやアーク痕などの設備損傷箇所を把握するために、定期的に架空地線点検を実施。
具体的には、春先に、1年に450kmずつ、5年をかけて点検対象となる総距離で2300kmの架空地線をヘリコプターから撮影。撮影後に動画を持ち帰り、時間をかけて目視点検を行っていた。一方で、管内のヘリコプター事業を撤退する企業があり、従来の点検手法の継続が課題となっていた。
そこで同社は、「現在の点検品質を保ち、点検員が容易に扱える機材で架空地線の点検が可能」「天候に優れない時期が多い北陸地方で、限られた期間の中でも利用できる」という条件で、従来の点検方法に代わるソリューションを検討。今回、ブルーイノベーションの「BEPライン」が条件に合致したことから、導入検証を決めた。
「BEPライン」は、たわみや揺れのある送電線に沿ってドローンがワンクリックで自動追従飛行し、点検に必要なデータを撮影・取得することで点検業務の自動化や効率化が図れるサービス。
ブルーイノベーションのデバイス統合プラットフォームをベースに、東京電力ホールディング、テプコシステムズと共同で開発し、東京電力管内の送電線の点検業務で支社と事務所に導入されている。
北陸電力送配電は、保有するDJI製ドローン「Matrice 300 RTK」に、「BEPライン」の専用モジュールを取り付け、架空地線の点検でサービスを検証した。
検証の結果、ヘリコプターで撮影した画像を持ち帰り目視点検を行う方法よりも、コストや労力が抑えられるだけでなく、リアルタイムでの目視点検が可能で、ドローン操縦に慣れていない点検スタッフでも簡単に点検ができると評価した。
今後は、検証結果をもとに、本格運用に向けた検討を進めるとともに、送電設備の保守点検業務の安全性向上や効率化などを図るとしている。