日本化薬は3月5日、ドローン用の安全装置「フロートパラシュートシステム」の実証実験を荒川で実施し、河川での有効性を確認したと発表した。
「フロートパラシュートシステム」は水上を飛行するドローン向けの安全装置。水に浮くフロート機能と、落下衝撃を緩和するパラシュート機能を一体化したシステムで、ドローンに搭載することで、水上飛行での緊急事態に備えられる。ドローンが水上に墜落した場合には、パラシュートが衝撃を緩和し、フロートで浮揚するため、機体の回収が手間をかけずの行えるという。
今回の実証実験では、物件投下用ドローンを使ってフロートパラシュートシステムを搭載した機体モックを高度50mから荒川に落下。その後、フロートパラシュートシステムが作動し、フロート部分に空気が入り水面に浮遊するかと、浮遊するフロートパラシュートシステムと機体を回収できるかを検証した。実証には国土交通省の荒川下流河川事務所の協力した。
実験時は、投下された機体モックは、搭載されたパラシュート装置が問題なく展開し降下速度が減速した状態で水面に着水。その後、パラシュート部分にたまった空気が想定通りフロート部分に入った。その後も河川に流されながらも空気が抜けずに浮力を持った状態が保たれた。機体回収もフロート部分をロープで持ち上げることで無事に完了できた。
加えて、物件投下用のドローンから投下させた機体モックを、荒川から回収後に損傷がないかを確認したところ、機体フレームや部品などに損傷はなかった。そのため、水面に衝突した衝撃で機体が損傷し、部品などが川底に沈んでしまう課題を解決できることを確かめた。
また、機体に搭載したデータロガーで取得したデータから、安全装置作動からフロートパラシュート開傘までが20mのため、ほかの環境でも水面からの高度30m以上を飛んでいればフロートも機能できることが分かった。日本化薬では一連の結果から装置が河川でも有効と確認できたとしている。
