花王は10月26日、兵庫県養父市の山間部で、重量運搬ドローンの自動運行技術を使った一括輸送と、自動搬送ロボットと連携した配送無人化の実証実験を、9月28日に実施したと発表した。
具体的には、養父市が協力し、スーパーセンタートライアル養父店から山を1つ隔てた直線距離で約2㎞先の養父市立養父中学校中庭部分の区間で、重量運搬が可能なドローン技術を活用し、ドローン広域供給拠点(ドローンデポ)から山間地域や過疎地域の商店に一括供給を想定した実証実験を実施した。
実証実験の様子
実証では、推奨最大20㎏搭載可能な大型ドローンで、約15㎏の日用品を一括輸送することに成功。山越えにおける電波の安定性と、商品を積載したドローンの飛行安定性も一定程度を確認できた。
実験にあたっては養父市がドローン飛行フィールドの提供、関係機関や地域住民との調整、施策・企画の検討、ブルーイノベーションが、ドローンポートの準備、ドローン運航管理システムの提供、プロドローンがドローンの準備、飛行オペレーション。NTTコミュニケーションズがLTE(4G)上空利用プランの提供、電波シミュレーション、プロジェクト全体管理を担当した。
今回の取り組みは、2021年7月からグループの全社員を対象に開始した、社員が持つアイデアを公募し、事業化や社内構造改革などを実現させる制度「01Kao」(ゼロワンカオウ)の第2弾。同社は、7月に兵庫県養父市との連携協定を締結し、過疎地域や山間部での物流課題解決と効果的な物流網構築の取り組みを進めている。
花王では、今回の実証実験で得られた知見や検証結果を基に、様々なドローン技術の特性に合わせた実証実験を継続的に行っていく考え。11月には、岐阜県中津川市で、ドローン一機での輸送が難しい大型荷物を複数の編隊飛行で改善を図る実証実験も行う。2024年には、海上ルートを利用した長距離ドローン輸送による時間短縮と効率化の実証実験も計画する。
同社は、多様化する生活者のニーズに柔軟に対応できるマーケティングとモノづくりに向け、需給計画や生産、物流機能の最適化、自動化、一体運営するサプライチェーン構築に着手。
また、トラックドライバーの不足やEC市場の拡大による輸送量の増加など物流課題に対応するため、他社や物流事業者、卸売業者、販売店などと連携して、サプライチェーン情報を共有し、共同輸送など効率化する共創型物流プラットフォームの構築にも取り組んでいる。
今後もドローン技術を生かした、新しい効果的な物流網の構築を目指し、地域が抱える物流課題や社会受容性、経済性を踏まえながら、ドローン物流活用が有効な用途やルートの検討を進めるとしている。