ベスタット、AMR用3D画像処理プログラムのライセンス提供を開始

ベスタット、AMR用の3D画像処理プログラムのライセンス提供を開始

AI(人工知能)を活用した法人向け3D画像処理サービスを展開する東京大学発スタートアップのbestat(ベスタット、東京・文京区)は5月30日、AMR(無人搬送車)用の3D画像処理プログラムのライセンス提供を開始したと発表した。

提供するのは、AMRに搭載した小型CPUが3D画像を処理し、ロボットの目の前に何があるかを伝達することでロボットが目の前の対象物に対し、つかむ、押すなどの動作を遅滞なく行うことができるプログラム。

照明環境に左右されず、暗所でも高い精度と速度で処理ができることと、訓練データの蓄積やデータマネジメントが不要なことが特長。プログラムを利用することで、AMRに設置した深度カメラを使って、移動中でも、特定の距離から、特定のサイズや形状の物体を見た場合に、数秒以内に正確に物体を認識することができる。

プログラムは画像処理で利用されている深層学習ベースではなく、幾何的な3次元形状を深度カメラで取得し、ルールベースの処理を行うことで作成した。AMRだけではなく、固定された位置で決められた動作を繰り返す作業ロボットや、固定の什器にカメラに埋め込むこともできる。

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FUJIのAMR「Rally」

ライセンス提供の第一弾として、FUJIが小売業向けAMR「Rally(ラリー)」で採用した。「Rally」は、カゴ車の認識に置いて印刷されたARマーカーをカゴ車の周囲四面に1枚ずつ貼ることでカゴ車を2Dカメラで認識する場合に、カゴ車同士の接触などでマーカーが削れたり落下したりする場合にカゴ車の認識ができない課題があった。

今回、プログラムを導入したことで、どの方向からもカゴ車を認識することが可能になり、倉庫にある柱や壁に置かれている固定の棚とカゴ車の区別もできるようになった。また、これらの機能の組み合わせることで、重いカゴ車を人が移動させる必要がなくなり、従業員の身体的な負担の軽減も図れるという。

ベスタットは、3DとAIに特化した東大発のスタートアップ。AMR用の3D画像処理技術のほかにも、3Dデータを自動生成できるクラウドサービスを手掛ける。クラウドサービスでは、土木業、施工業、製造業、ECなどの企業が、自社内で簡単に高品質な3Dデータを一気通貫で自動制作・管理できる機能の提供を目指している。