
エアロセンス(東京・北区)は4月9日、東京都の島で、VTOL(垂直離着陸機)型ドローン「エアロボウイング」を活用した物流や災害対策などの島しょ間の活性化プロジェクトを4月から開始すると発表した。東京都の「東京宝島事業」で「東京宝島チャレンジプロジェクト」に採択されたことを受け実施する。

プロジェクトは大島、利島、新島、式根島、神津島で構成される第1ブロック、三宅島、御蔵島、八丈島、青ヶ島の第2ブロック、父島、母島の第3ブロックの3エリアで実施。具体的には、「島の環境維持と改善」「ドローン物流」「ドローンでの撮影と動画配信」に取り組む。

「島の環境維持と改善」は、自治体と災害対策協定を結び、「エアロボウイング」で定期パトロール、モニタリング、有事の調査、物資輸送、森林、海洋、密漁などの監視や調査を行う。自治体と連携してドローンで撮影したオルソ画像や3次元点群データで地形や沿岸部の確認、動画撮影による監視や調査などを実施し、日ごろから災害や有事に備え、災害の発生時にも、すぐに状況を確認し復旧活動を行える体制を構築する。

「ドローン物流」は、諸島間でドローンを活用し、行政間の交換便、処方箋、郵便物、オンラインショッピングの小物などのドローン物流を行う。2025年度は式根島と新島間、2026年度は式根島と大島、神津島間、2027年度以降は式根島と三宅島、八丈島間と対象エリアを広げる。プロジェクト実施期間中に、エアロセンスが開発中の10kgまで積載可能で、最長飛行距離が150kmの大型ドローンが完成すれば、より大きな物資輸送を行うことも検討する。

「ドローンでの撮影と動画配信」では、島の魅力の訴求で、ドローンで俯瞰(ふかん)映像を撮影し編集。ユーチューブなどを通じて継続的に配信する。動画をベースにした観光コンテンツの販売や、旅行や移住を誘致する施策にも取り組み、島しょ間の交流人口の増加を目指す。
東京都では、東京の島々が、雄大な地域資源や気候風土に由来する個性的な特産品など、魅力ある「宝物」にあふれているとして磨きをかけ広く発信していくため、ブランディングやマーケティングなどの専門家で構成する「東京宝島推進委員会」を立ち上げた。
2022度からは、島で構築した地域ブランドコンセプトに基づき、島の魅力を島内外に発信すると共に、島の付加価値を高め地域が持続的に発展するアイデアを公募・選定し、ブランド化を後押している。
一方で、都では、これまでの取り組みを一歩進め、複数の島しょにまたがる広域的な支援で、新たなサービスの起業と事業化に向けたチャレンジを支援することを決定。こうした中、エアロセンスでは、2024年度「東京宝島チャレンジプロジェクト」で「エアロボウイング」を活用して島しょ間を活性化する提案が採択されたことで、プロジェクトを開始することにした。