ラピュタロボティクス、重量検品機能搭載の新モデル、花王が65台を導入

「ラピュタPA-AMR」重量検品機能搭載モデル
「ラピュタPA-AMR」重量検品機能搭載モデル

ラピュタロボティクスは7月17日、ピッキングアシストロボット「ラピュタPA-AMR」で重量検品機能を搭載した新機種の説明会を開催した。会場では新モデルのデモンストレーションを実施したほか、花王が関東の物流拠点に導入することも発表した。

「ラピュタPA-AMR」は物流倉庫などで作業スタッフの荷物搬送を代行しピッキング作業を支援するロボット。AI(人工知能)が効率的なピッキング作業ルートを作成し、作業者はロボットの指示に従って作業することでピッキングの効率化と歩行の時間や歩数を削減できる。同社によると、ピッキングアシストロボット市場で2022年度から24年度までの3年連続で市場シェア1位を獲得したという。

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重量検品機能搭載モデル(左)と標準モデル

重量検品機能モデルは、ピッキング時の商品重量を自動で計測できる機種。上下段トレーに重量計測器のロードセルを搭載しており、ピッキング作業と同時に商品重量を自動で計測する。計測時間は約1秒。コンテナに入れる商品を間違えた時は、ロボットのモニターにアラートを即座に表示して作業者に知らせる。オリコンは2つ、オリコンボックスは4つを量れる。最小計測値は10g、最大計測値は20kgまで対応する。計測設定は導入企業に応じて小数点単位で設定できる。

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ロボットに搭載したロードセル

重量検品は、ピッキング時のにロードセルが量った重量を倉庫内のWi-Fi経由でクラウドのロボットプラットホーム「rapyuta.io(ラピュタアイオー)」に送り、API(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)連携で、導入企業のWMS(倉庫管理システム)などに登録した商品の重量情報と照らし合わせ、正誤の結果をロボットに戻す仕組みで実現した。

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「ラピュタPA-AMR」の運用例イメージ

「ラピュタPA-AMR」は、倉庫内の区画をまたぐ移動を代行し、人は区画のみを担当するといった運用でピッキング作業を効率化する。これまではピッキング作業支援のみだったが、新機能の追加でピッキングと検品が同時に完了することが1アクションで可能になった。

価格は新規導入で月額15万円(「ラピュタPA-AMR」標準モデル:12万円、重量検品機能:3万円)。Wi-Fi設定を含めたネットワーク環境も必要で、通信サービスはパートナーが提供する。すでにラピュタPA-AMRを導入する企業は、重量検品機能をオプションで1台当たり月額3万円で提供する。新規・既存ユーザーともに導入費用は導入台数に応じて割り引きも用意する。

ラピュタロボティクスでは、「FMCG(Fast Moving Consumer Goods)」と呼ばれる、日用雑貨、化粧品、医薬品、食品、飲料、ペット用品などの商品回転率が非常に高い製品を扱うメーカーや物流事業者をターゲットに想定。日用品や市販薬の店舗向け倉庫などでの利用を見込む。

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須藤圭佑・プロダクトマーケティングマネジャー

須藤圭佑・プロダクトマーケティングマネジャー「物流業界の深刻な人手不足と競争激化という課題に対し、少人数かつ短時間での物量処理を可能にする『効率化』と、誰が作業をしても安定した処理ができるようにする『標準化』という2つで解決する他社にはないソリューション。われわれは、自動化ソリューションの開発に注力している」と説明した。

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尾形達也・PA-AMRセールスマネジャー

尾形達也・PA-AMRセールスマネジャーは「『効率化』と『標準化』で出荷までのスピードと誤出荷の削減できる重量検品モデルは、スピードと品質が求められる『FMCG』では有効な機能になる」と自信を見せた。

重量検品機能モデルは、花王が今冬に関東の物流拠点に65台を導入する。同社は小売店への直接配送など独自の物流施策を展開し、最適化と自動化でさまざまな技術を導入。ピッキング作業の自動化環境を構築しているが、一層の出荷作業の効率化や品質向上、労働力不足と将来的な物量増加への対応で採用を決めた。運用では自動充電ステーションを導入し、充電の手間を省き、複数台のロボットを効率的に稼働させる。