ハイボット、ロボット活用した核廃棄物格納タンクの点検作業に成功

核廃棄物処理施設で、ロボットを活用した点検作業を実施

インフラの点検・保守サービスのRaaS(ロボット・アズ・ア・サービス)事業を手掛けるベンチャーのハイボット(東京・品川区)は11月10日、ベルギーのヴアンソツトと、核廃棄物処理施設で、ロボットを活用した点検作業に成功したと発表した。

今回、ヴアンソツトがNIRAS(放射性廃棄物・濃縮核分裂性物質管理を行うベルギー国家機関)の子会社から、同社の第二廃水処理施設にあるコンクリートバンカー内の貯蔵タンクの目視検査と肉厚測定を請け負うい、電離放射線の存在と放射能汚染のリスク対策の必要性から、遠隔検査技術の活用を検討。

その実現でロボティクス分野でパートナーのハイボットが開発した多目的非破壊検査用の多関節ロボットアーム「Float Arm(フロート・アーム)」の利用が有効と考え採用した。

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「Float Arm(フロート・アーム)」の作業イメージ

実施にあたっては、「Float Arm」に放射能汚染対策を行い、適切なセンサ・ペイロードを装備。深いバンカーの最も狭いコーナーエリアに施設備え付けの天井クレーンを使って侵入できるよう、新たに開発した専用ケージも搭載した。その結果、人やほかの検査装置では近づくことができなかった核廃棄物処理施設という環境点検で、産業安全や労働安全、労働衛生の基準を全て満たす検査を行うことができた。

同時に、ロボットを活用したことで足場の設置や防護措置などの大がかりな準備が不要となり、高所作業に伴うリスクの大幅な軽減、作業員が電離放射線や放射能を浴びるリスクを最小限に抑えることも実現した。加えて、Float Armを使用した遠隔検査の測定値を全てデジタル化し、座標システムと点群データに関連付けることができた。

ハイボットでは、今回の取り組みを受け、「このミッションで得られたよい結果に非常に満足しており、『Float Arm』のおかげで作業員が危険にさらされることなく安全に検査が行えたことを嬉しく思う。我々は検査の実施方法に変革を起こし、ロボティクスでより安全な世界を実現していく」(ミケレ・グアラニエリ社長)とコメントしている。