NTT、産業用ネットワーク機能ソフト化技術でロボットの遠隔自動制御を実証

実証実験の様子
実証実験の様子

日本電信電話(NTT)は5月16日、千歳科学技術大学と、産業用ネットワーク機能のソフト化で、工場内の産業用ロボットをネットワーク越しのサーバー上で制御する実証実験で遠隔制御でも滞りない制御と、産業用ネットワーク機能の入れ替えが可能なことを確認したと発表した。

これまで、ロボット制御のプロトコルドライバと、画像解析などを行う制御機能は、ロボットごとに専用の操作系機器に実装され、システム会社の独自仕様で作られていた。

こうした中、NTTは千歳科学技術大学と、こうした専用機器に実装される機能を分類。ロボットと通信するプロトコルドライバレイヤと、ロボットの動作をコントロールする制御機能レイヤ、上位管理装置との連携を司る管理ドライバレイヤに分離しソフト化に成功した。

2社今回、技術確立したロボット操作機能のソフト化で、有効性を確認するために、ロボットを光回線で接続した汎用サーバーで制御し、自動で動作制御する実証実験を実施した。

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実証実験の構成

具体的には、工場内での動作を想定したロボット付近にカメラとトランプを配置し、エッジ拠点となる光回線越しのサーバーに、画像解析、動作制御、プロトコルドライバを実装。カメラで認識したトランプを、サーバーで処理し、色に応じて自動振り分け、滞りなく動作できることを確認した。

さらに、操作系機能の1つであるプロトコルドライバをNTTがソフト実装したファクトリーオートメーション(FA)で使用される産業用イーサネットプロトコル「PROFINET」ドライバから千歳科学技術大学がソフト実装したFA向け産業用イーサネットプロトコル「EtherCAT」ドライバに入れ替え、異なるドライバで動作可能なことも確かめた。

NTTでは実証実験で得られた成果から、技術を導入することで、工場内に専用機器の設置が不要で、クラウド上のサーバーを活用することができることに加え、ロボットの機器選定の自由度が高まり、初期投資を抑えて迅速に工場を立ち上げられるとしている。

今後は、実際の中小企業が工場のシステムに導入できるように、複数台のロボットの同時制御や実工場でのフィールドトライアルを通じて実用化に向けた機能拡充を図り、人手不足解消に向けた工場の生産ライン自動化の普及を目指す。