
業務用洗濯機や乾燥機の製造を手掛ける山本製作所(広島・尾道市)は4月21日、ロボットなどの最先端技術を導入した塗装ラインを備えた新工場の稼働を3月から開始したと発表した。

新工場では、塗装パーツに合わせた専用ラインを構築し、ロボット塗装とレシプロ塗装を同時に行うシステムを導入した。
具体的には、安川電機のロボットアームと、スイス粉体塗装機のゲマの粉体塗装ガンを活用。従来の塗装方式と比べ、生産効率を約2倍に向上させた。塗装ラインは2名でフル稼働が可能で、省人化と高品質の両立を実現した。
また、クリーンルーム同等の密閉型塗装ブースを導入することで、ゴミやホコリの混入を極限まで抑制し、塗料の再利用率を高めた。そのため、塗料などの廃棄物を最小限に抑え、環境負荷を低減しながらも高品質な仕上がりを維持できるという。さらに、屋根に大規模な太陽光パネルを設置し、工場の稼働電力をクリーンエネルギーでまかなう構造を採用した。
そのほか、粉体塗装の高温乾燥ユニットが必要な環境でも、熱漏れを最小限に抑える設計を採用することで、働く人が夏場でも快適な作業環境を維持できるようにした。
内製化率の向上で導入した溶剤塗装ラインでは、塗料にこだわり、発がん性物質を含まない溶剤塗料を使用。作業者の健康リスクを徹底的に抑える配慮と、安全で持続可能な労働環境を整備した。
山本製作所では、新工場を海外戦略の要に据える。これまで米国市場で業務用洗濯機の販売を中心に展開してきたが、新工場の生産力を生かし、業務用乾燥機市場に本格参入する。同社は、日本の高品質、高効率な製品で、米国市場に新たなインパクトを与えるとしている。