グラムアイ、薬剤耐性菌問題解決を目指し第三者割当増資で資金調達

サムライインキュベートから第三者割当増資で資金調達

AI(人工知能)で薬剤耐性菌問題の解決を目指す大阪大学発ベンチャーのGramEye(グラムアイ、大阪・茨木市)は9月20日、スタートアップ投資ラウンドの「シリーズA」のファーストクローズで、サムライインキュベートの運営ファンドを引受先とした第三者割当増資で、資金調達を実施したと発表した。

グラムアイは、「薬剤耐性菌」と呼ばれる抗菌薬の誤用や乱用で薬が効かない細菌をAIとロボティクスソリューションを使って、抗菌薬の適正利用することで薬剤耐性菌問題の解決を目指す大阪大学の医師と医学生が立ち上げたスタートアップ。2020年5月に創業した。

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グラムアイが開発するAI・ロボティクスソリューション

具体的には、適切な抗菌薬を選ぶために行う微生物検査「グラム染色」を、AIでアップデートしロボティクスソリューションを活用することで、グラム染色工程の手間を省略。AIが顕鏡をサポートして、迅速で正確な検査結果を反映するシステムを構築する。「グラム染色」は菌を染め上げ、顕微鏡で観察し色と形から菌種を推定する検査で、広域な抗菌薬の適正利用や感染症の入院期間を短縮する効果が報告されている。

薬剤耐性菌は世界中で増加しており、今後何も対策が講じられず、現在のペースで耐性菌が増え続けると、2050年には、世界で、がんによる死亡者数を超える1000万人が命を落とすことが想定されているという。

同社では調達した資金を、グラム染色工程を自動化、迅速化、デジタル化するAI・ロボティクスソリューションの臨床現場への導入、AIの強化、ハードウエアの改良で使用する。

これまで3度の資金調達を行っており、国内10施設の医療機関と共同研究契約を結び、AI開発と市場調査を進め、試作機を使ったデモやヒアリングを実施した。実際に使用した医師からは、試作機の有用性の実感と発売を期待する声が寄せられているという。