オリィ研究所、高齢者施設で分身ロボット使い認知症利用者のカウンセリング実験

「OriHime」を使ったカウンセリングの様子
「OriHime」を使ったカウンセリングの様子

オリィ研究所(東京・中央区)は7月31日、ウェブサイト企画などの仙拓(愛知・東海市)と、分身ロボット「OriHime(オリヒメ)」を使った、認知症利用者のカウンセリングの実証実験を、高齢者施設で7月23日から開始したと発表した。

実証実験では、視覚障害を持つ「外出困難者」のピアカウンセラーが「OriHime(オリヒメ)」を操作し、愛光園が運営する高齢者施設「介護老人保健施設 相生(あいおい)」(愛知・東浦町)の認知症利用者に対してカウンセリングを実施する。視覚障害がある人の就労やコミュニケーションの手段で分身ロボットの有用性の確認も行う。

オリィ研究所によると、人手不足が深刻化する介護現場では日常的なケアで介護職員が多忙を極めており、利用者1人1人への会話やカウンセリングについて時間をかけて行うことが難しい一方、会話をする機会を増やすことで脳への刺激になり、認知症の高齢者によい影響がもたらす事例があるという。そこで、同社は、分身ロボットを活用してカウンセリングを行い、その効果を観測することで、遠隔コミュニケーションでの高齢者ケアの可能性を確認する実験を行うことにした。

これまでの実験では、ピアカウンセラーと、施設の認知症利用者がロボットを通じてコミュニケーション、カウンセリングを行うことが可能なことが分かった。これを踏まえ、今後は利用者のBPSD(認知症の行動・心理症状)、認知機能、心の変化などを8月末まで経過観察し、ロボットを使った、コミュニケーションの具体的な効果を測定していくとしている。