NTT、公共交通向け自動運転の新会社「NTTモビリティ」設立 2030年代に1000台運行へ

(左から)山下航太・NTTモビリティ社長と永宮直彦・副社長(提供:NTTモビリティ)
(左から)山下航太・NTTモビリティ社長と永宮直彦・副社長(提供:NTTモビリティ)

NTTは12月17日、自動運転サービス導入支援の新会社「NTTモビリティ」を設立したと発表した。路線バスやオンデマンドバス、ロボットタクシーの公共交通に特化し、自動運転の導入・運用コストを抑えたシステムを提供する。2030年代に全国で1000台以上の車両を運行し、数百億円規模の売上高を目指す。

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新会社の事業概要(提供:NTTモビリティ)

新会社は、自動運転車の導入支援を手がける。自動運転車サービスや維持・管理、遠隔監視などを提供する。NTTがこれまでグループ各社で個別に実施していた自動運転の実証実験の知見や技術、NTTが持つ生成AI(人工知能)や通信技術を組み合わせてパターン化することで、開発コストを抑える。

2028年度までにレベル4(特定条件下での完全自動運転)のサービス体制を整え、全国で展開する。路線バスから着手し、オンデマンドバスやロボットタクシーに順次広げる。米メイ・モビリティーやティアフォー(東京・品川区)などの自動運転システム開発会社とも組み、地域の交通事情に合った小型バスやタクシーなどの自動運転サービスを開発する。

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NTTグループ各社との連携体制(提供:NTTモビリティ)

普及に向け、NTTグループ各社が協力する。自治体や交通事業者との営業活動や要件定義の窓口は、地域密着を強みとするNTT東日本や、NTT西日本、NTTドコモビジネスが担う。自動運転の統合モニタリングシステム開発はドコモビジネスが主導し、NTTモビリティが共同で進める。

NTTによると国内では路線バスの運転士の不足、高齢化などで、過去10年間で毎年1480km超の路線が廃止されており、地域住民の移動手段を圧迫している。タクシーの運転士不足も深刻で、有効求人倍率は全職種平均の2.9倍にものぼっている。この課題解決で、自動運転のバスとタクシーの実用化を急ぐ。

山下航太・NTTモビリティ社長は発表会で「交通の担い手が減少する中で、日本の地域交通を支えていく。自動運転が便利な当たり前のサービスとなり、日常に溶け込む未来を目指したい」と語った。