川崎重工業は11月29日、自律移動型ロボット開発のSEQSENSE(シークセンス、東京・中央区)、藤田医科大学(愛知・豊明市)と、藤田医大の「藤田医科大学羽田クリニック」を併設する次世代医療・研究の拠点「藤田医科大学東京先端医療研究センター」にサービスロボット「FORRO(フォーロ)」の新型機種を1台導入したと発表した。
導入した新型のFORROは、センター内で行われる検査の検体配送に従事する。ロボットは荷室容量を77Lから100Lに約30%の拡大を行い、走行音を低減するなど、現場での使いやすさを従来機種よりも高めた。
ロボットは、広範囲をセンシングし、外来患者が多い日中の混雑時間帯でも安全に走行できるほか、ドアの開閉・カートやベッドの有無といった病院特有の環境変化の多さがあっても確実に走行する。45分の充電で連続6時間の稼働可能。タスクとタスクの間に自動充電し、稼働時間を最大化する。
病院での常時運転では全国初という、エレベータでの人とロボットの相乗りを実現。混雑時の乗車見送りや、タッチパネル、手動操作でベッドを優先する緊急降車もできる。川崎重工、シークエンス、近計システム、デジタル・インフォメーション・テクノロジーが共同開発したクラウドのプラットフォームシステム、ロボット連動ユニットを使ったことで、エレベータの停車指示やスムーズな乗り降りを可能にした。
ロボット専用のWi-Fi設置が不要で、シンプルなユーザーインターフェースで直観的に操作が可能。右側、左側といった院内ルールに合わせた走行が行える。周囲の混雑具合、時間帯、エリア別に最適な速度に調整するシステムを搭載しており、混雑していない環境では安全を確保しながら高速モードに切り替える。加えて、周囲の人とモノを検知しながら、目的地まで最適なルートを選択して走行する。
スタッフステーション・検査部に設置されたスマートフォンでロボットを所定の位置に呼び出し、配送状況の確認、到着時の通知受信が可能。ロボット本体にはタッチパネルを備えており、シンプルで直観的な操作が行える。
センターでは、医療従事者の負担軽減と業務効率化を目指す取り組みとして導入した。今後は、安全性を確保しながら医療従事者のより一層の負担軽減と業務効率化を目指すとともに、今後の病院でのサービスロボット活用方法も検討する。新機種は、藤田医科大学病院(愛知・豊明市)にも1台が導入されている。