ロボティクス基盤開発のリアルワールド(RLWRLD、東京・千代田区)は5月12日、ロボティクス基盤モデル「RLDX-1(リアルデックス)」を正式公開したと発表した。視覚・言語に加え、力や触覚、作業記憶を単一モデルで処理する設計を採用し、産業現場での精密作業の自動化を目指す。
「RLDX-1」は、器用さを起点にロボットの行動能力を高める設計思想「Dexterity-First」を採用し、力や触覚、接触タイミングなど、カメラ映像だけでは捉えにくい情報を扱うことで、産業現場における手作業の自動化に対応する。従来は視覚・言語中心のVLA(ビジョン・ランゲージ・アクション)モデルが中心だった。
技術の中核には、マルチストリーム・アクション・トランスフォーマー(MSAT)を導入。視覚、言語、行動、触覚、記憶などの信号をモダリティごとに処理し、相互に統合する構造にした。力や触覚、長期記憶を専用モジュールで扱うことで、ロボットが「見て、感じて、記憶し、適応する」一連の処理を実現できるとしている。
基盤は、事前学習チェックポイントと、プラットホーム別のミドトレーニングチェックポイント2種の計3種で構成する。モデルの重みや学習コード、技術ドキュメントはギットハブとハギングフェイスを通じて公開し、外部研究者も利用できるようにした。今後は、日本と韓国でも発表イベントを順次開く。
同社は、産業現場で繰り返し発生する手作業の課題を体系化するため、自社ベンチマーク「DexBench」も構築した。把持の多様性、空間精度、時間精度、接触精度、文脈認識の5項目で手の操作能力を定量評価する。
グローバル公開ベンチマーク8種では、エヌビディアの「GR00T(グルート)」やフィジカルインテリジェンスの「π0(パイゼロ)」などのモデルを上回る結果を記録したという。実機ロボット環境は、リアルワールドが開発に参画した韓国ウィーロボティクスのヒューマノイドロボット「ALLEX(アレックス)」を使って評価。動的な重量変化を伴うコーヒーつぎの課題で70.8%の成功率を記録し、比較対象モデルの約2倍の成果だったという。
リアルワールドは、SKテレコム、LG電子、CJ大韓通運、ロッテ、KDDI、ANAホールディングス、三井化学、島津製作所などが出資しており、10社以上とベンチマークの共同開発やPoC(概念実証)、RX(ロボティクストランスフォーメーション)のプロジェクトを進めている。








