井関農機など4者、水田の雑草防ぐ「アイガモロボ」全国36か所で実証実験

水田で稼働する「アイガモロボ」

井関農機は1月23日、農研機構、有機米デザイン、東京農工大学と、水田用自動抑草ロボット「アイガモロボ」の抑草効果を確認する実証試験を全国36か所で実施したと発表した。

「アイガモロボ」は、アイガモを使ったアイガモ農法(除草)に着想を得て開発されたロボット。効果が不安定なアイガモの代替としての活用を見込んでいる。4者は今回、秋田から鹿児島にある水稲有機栽培生産者ほ場の合計36か所で2年をかけて効果を検証した。

その結果、生産者が以前から取り組む、主に複数回の機械除草を行う有機栽培と比較し、機械除草回数が平均58%減少し、水稲平均収量が10%増加し。また、導入したほ場の幼穂形成期での平均推定雑草乾物重は16.6g/m2で、水稲の収量には影響しない程度だったことも確かめた。

一方で、実証試験全体の3割程度でアイガモロボが正常に稼働しない事例も確認。このことから、アイガモロボを水田で安定的に稼働させるために、ほ場水位を一定以上に保つ必要と、ほ場の均平化や用水の安定供給が重要な導入条件になることもわかった。

4社によると、化学合成農薬を使用しない水稲有機栽培は、雑草防除の作業時間と作業負荷が非常に大きく、雑草害が主要な減収要因になることから、省力で安定的な雑草防除技術が求められているとしており、今回の実証の結果からアイガモロボが、除草労力を削減しながら水稲有機栽培の収量を確保する新たな雑草対策ツールになると見込んでいる。

今後は、アイガモロボの雑草防除メカニズムや水稲収量の増加に寄与した要因を解明し、ほ場の立地やサイズなどに応じた効果的な運用法や適用条件などを検証する。