水田の自動抑草を行うアイガモロボの開発を手掛ける有機米デザイン(東京・小金井市)は2月9日、ソフトウエア企画のナチュラルスタイル(福井・福井市)、井関農機と、同社の「安価版アイガモロボ」の実証を開始すると発表した。
「安価版アイガモロボ」は、ナチュラルスタイルが開発したスマホ通信機能を省いた「自動航行システム」と、新開発の「ブラシ型パドル」を搭載したのが特長。2023年から販売する「アイガモロボ」が持つ抑草機能を引き継ぎ、「ほ場の均平」「水管理」「強風対策」の機能で技術向上を図った。
有機米デザインが製品化と量産化、製造を行い、ナチュラルスタイルは要素技術開発、井関農機が販売とメンテナンスを担当する。
アイガモロボの現行機は、国立研究開発法人の農研機構などと行った実証実験では、十分な抑草効果と収量の平均10%増加、機械除草回数の58%減少を確認した。一方で、導入には、ロボットに合わせたほ場条件に整えることが必要で、条件が合わない圃場では導入にできない課題があった。
新たに開発した「安価型アイガモロボ」では、現行機での抑草機能・生育に対する影響は変わらず適応条件を拡大することで導入の課題解決につなげる。また、スマートフォンとの通信機能を省きながら操作の簡易化と機能向上、低価格化を図る。
実証は、2024年度に全国で実施する計画。実証を通じて様々な条件下での課題を抽出し、製品に生かす。ロボットは、水のにごりやトロトロ層での抑草効果に加え、ブラシが水底を掻くことで発生初期の雑草を浮かせる効果も見込めるという。同社では、実証の結果を受けての製品化を考えており、発売時期と販売価格は、現状では未定だが、早期の市場投入を目指すとしている。