国際ドローン協会(IDA)は1月17日、千葉県東庄町で農業用ドローンの性能を検証する実証実験を、1月15日に実施したと発表した。
東庄町の農家の協力を得て、東庄町が強く推進するドローンを利用した農業DX(デジタルトランスフォーメーション)事業を担う実証実験として、岩田利雄東庄町町長が立ち合い行った。
具体的には、DJIの農業用ドローン「T30」を2機で同時飛行した場合の散布能力、農業用の新型ドローン「T25」の散布能力を、10ヘクタールの圃場を使用し、散布時間や薬剤補充量・回数、バッテリー交換回数なども含め検証した。実験当日のパイロットや監視員は、2022年12月から制度化されたドローンの国家資格の一等無人航空機操縦士を持つ人員のみを選定した。
2機の同時散布は、事前準備にドローンで航空測量を行い、自動飛行のマップを作成して完全自動飛行で行った。「T30」は、1つの送信機で複数の機体を操縦可能だが、航空法上の制約や2機同時に操縦できるパイロットの技量などで、非常に難易度が高い飛行のため、今まで実施されてこなかったという。
今回の実証では、1機のみの飛行と比べて倍の面積を散布できることを確認する一方、効率的な散布を行うための飛行ルート設定や送信機の接続状況など、さらなる効率化の課題も確認した。「T30」2機を使った散布は日本初という。
一方、「T25」では、高効率な散布能力、農業機単体での航空測量と自動飛行、障害物検知と回避などの安全機能について、散布を通じて検証。従来機と比較し短時間で散布を完了可能なことを確認した。検証にはセキドが協力した。
IDAは、今回の検証結果を活用し、今年中に東庄町でドローン集団防除を行う計画。集団防除では、1200ヘクタールの散布を予定する。
東庄町は、ドローンを使った散布を推進しており、2023年に開設した「東庄町ドローンパーク」をドローン拠点としてドローンの散布事業、ドローンの整備事業に取り組んでいる。また、一等と二等無人航空機操縦士の取得が可能な国土交通省登録講習機関を備えたドローン人材育成の施設を設置する。IDAでは集団防除で、こうした同町の環境を最大限に生かす。