ドローン、わかりにくい「特定飛行」と「カテゴリー」をやさしく解説

ドローンの飛行時のイメージ
ドローンの飛行時のイメージ

ドローンは、製造業や建設業、運輸業、サービス業など、様々な分野で活用が期待されている。また、近年、レベル4が解禁されたことで、ますます注目が集まっている。

例えば、製造業なら、工場外周の監視や人が立ち入れない危険な場所の確認で、人手が不要で監視・確認を実施できる。また、建設業界であれば、測量工程を自動化が可能になる。ドローンを活用することで、効率化や省人化できる領域は広がる。

一方で、ドローンの利用は、飛行方法や空域、飛行条件によって、行政の許可・承認が必要になる。そのため、ドローン導入の検討では、航空法の理解を深めることが必要だ。今回は、その一部を国土交通省の「無人航空機の飛行許可・承認手続」を参考に紹介する。

航空法では、国土交通大臣の許可や承認が必要な空域と方法での飛行(特定飛行)を行う場合には、基本的に飛行許可と承認手続きが必要と定められている。もし、適切な許可や承認を取得せずに無人航空機を飛行させた場合には、懲役や罰金が科せられるケースもある。

特定飛行に該当するケース

まずは、特定飛行に該当するケースを確認しておこう。下記の画像で赤枠に記されている空域での飛行は、特定飛行に該当する。それ以外にも飛行方法や条件によっては特定飛行にあたる場合がある。

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飛行許可申請が必要な空域

では、特定飛行に該当する飛行方法や条件の一例を紹介しよう。具体的には、以下の6点になる。

  1. 夜間飛行:日没から日の出までの時間(航空法 第百三十二条の八十六 2の1)
  2. 目視外飛行:ドローンとその周辺の状況を目視できない状況(航空法 第百三十二条の八十六 2の2)
  3. 人または物件と距離を確保できない飛行:ドローンと人または物との距離が、国土交通省の定める距離以内(航空法 第百三十二条の八十六 2の3)
  4. 催し場所上空での飛行:祭礼、縁日、展示会、その他の多数の者の集合する催しが行われている場所の上空を飛行(航空法 第百三十二条の八十六 2の4)
  5. 危険物の輸送:爆発性又は易燃性を有する物件その他人に危害を与え、又は他の物件を損傷するおそれがある物件で国土交通省令で定めるものを輸送(航空法 第百三十二条の八十六 2の5)
  6. 物件の投下:人や物に危害、損害を及ぼす恐れのないものとして国土交通省令で定められていない物をドローンから投下(航空法 第百三十二条の八十六 2の6)

以上の場合に飛行させることを想定した飛行カテゴリーが設定さている。

次に、「飛行カテゴリー」について解説する

ドローンの飛行カテゴリー

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飛行カテゴリーを判断するためのフロー図

ドローンの飛行は、リスクに応じて以下のカテゴリーに分類される。

  • カテゴリーIII:特定飛行のうち、無人航空機の飛行経路下で立入管理措置を講じないで行う飛行(=第三者の上空で特定飛行を行う)
  • カテゴリーII:特定飛行のうち、無人航空機の飛行経路下で立入管理措置を講じたうえで行う飛行(=第三者の上空を飛行しない)
  • カテゴリーI:特定飛行に該当しない飛行

「カテゴリーIII」と「カテゴリーII」では、原則的に飛行許可・承認手続きが必要だ。一方、カテゴリーIは、飛行許可・承認手続きが不要になる。また、機体認証や操縦者技能証明の取得によっては、カテゴリーIIで一部の飛行許可・承認手続きが省略できる場合もある。

飛行許可・承認手続きは、オンラインサービス「ドローン情報基盤システム(DIPS2.0)」を通じて行われる。つまり、機体登録手続きを先行して行わなければならず、適切な許可や承認の取得なしに無人航空機を飛行させた場合、懲役や罰金の対象になる。また、飛行計画の通報や事故などの報告も必要だ。

加えて、航空局標準マニュアルやホームページに掲載されている無人航空機の情報、飛行許可や承認制度に関する最新情報も参照する必要もある。こうした一連の手続きは、無人航空機の安全な運航の確保と、法的な問題の回避の点で重要だ。ドローンを活用する事業者は、これらのルールを熟知することが、第一歩となる。