
テラドローン(東京・渋谷区)は8月7日、ベルギーUTM(運航管理システム)子会社のユニフライが、ドローンと有人機の安全な空域共有と効率的な運用を目指すプロジェクト「BURDIプロジェクト」で、ベルギー北部・ケンペン地域で実施された、医療物資のドローン配送の実証運航に、UTMプラットホームの提供と技術支援を行ったと発表した。
「BURDIプロジェクト」は、EU(欧州連合)と、欧州の共同研究機関のSESAR(シングルヨーロピアンスカイ航空管制研究共同実施機構)が共同出資する、ベルギーとオランダを対象とした欧州共同プロジェクト。
欧州のUTM「U-space(ユー・スペース)」に基づいた運航ルールと空域管理の枠組みを実地で構築し、BVLOS(目視外飛行)を含むドローンと有人機の安全共存を目指している。ユースケースで医療物資の緊急配送などを想定しており、ユニフライは実証で中核技術のUTMプラットホームを提供した。
今回の実証運航は、ベルギー北部ケンペン地域の主要医療機関である、AZトゥルンハウトの2つの医療拠点間で薬剤や検体などの医療用緊急貨物をドローンが配送した。飛行はBVLOSで行われ、操縦は英国バッキンガムシャーの遠隔運航センターから遠隔で実施。関係当局の正式承認を得て、国外からの遠隔操縦を含む継続的な配送実証で、非常に先進的で希少な取り組みになったという。
ユニフライが提供したUTMプラットホームは、飛行申請から承認、ルート管理、リアルタイム航空交通監視までを一括で実施。飛行計画承認や空域侵入防止、ほかの航空機との衝突回避、天候警告、緊急停止支援などの機能を備えており、安全で効率的な空域管理を実現した。プラットホームは「U-space」に準拠して設計されており、これらの点が高く評価され、実証に採用された。
実証運航は、ベルギー初の常設型ドローン配送ネットワーク構築の第一歩になる。将来的には、ベルギー北部・ケンペン地域の主要病院に、無人運航型のドローンステーションを設置し、24時間365日体制で運用を目指す。こうしたネットワークが構築することで、病院間で抗がん剤などの特殊薬剤を迅速に配送するといった、患者ごとの病状や治療方針に応じた個別化医療の実現にもつなげる。
テラドローンでは、今後成長が期待される医療物資のドローン配送で、実証に制度設計や空域整備の初期段階から技術提供者で参画した知見は、将来の事業展開で重要な足掛かりとなるとしている。