ラピュタロボティクス(東京・江東)は8月31日、ロボットを活用し、入荷から出荷までの物流業務フロー全体を自動化する「End-to-endソリューション」を発表した。自社と他社の物流ロボットやマテリアルハンドリング設備を連携し、設備構成の設計から導入後の運用最適化まで一社で担う。
「End-to-endソリューション」は、個々の設備や工程だけでなく、工程間の荷物の受け渡しを含む物流業務フロー全体を自動化するソリューション。設計時には、顧客の投資条件や現場の状況に応じて、自社製品に限定せず、他社製品を含む設備を組み合わせて最適な構成を設計する。
導入後は、入荷時間、人員配置、需要などの制約条件の変化に合わせ、工程間の連携や処理のタイミング、処理量を調整する。倉庫内の複数のロボットや設備は、ラピュタのクラウドロボット基盤「rapyuta.io(ラピュタアイオー)」で制御し、フロー全体の性能を最適な状態に保つ。
同社は発表に合わせ、東京・江東区の本社ショールームに自社製品と他社製品を含む6種類のロボットで構築したデモ環境をメディアに公開した。

デモでは、まず自動フォークリフト「ラピュタAFL」が入荷したパレットを持ち上げ、パレット自動倉庫へ自動で入庫。続いて、ケースピッキングロボットがパレット上の箱を取り出し、自在型自動倉庫「ラピュタASRS」に補充した。ラピュタASRS内では、ロボットアームがAI(人工知能)による物体認識と把持計画を使い、商品単位のピッキング作業を行った。
ピッキングアシストロボット「ラピュタPA-AMR」と「ラピュタASRS」の間で商品を受け渡す「リレーピッキング」も公開した。商品をどちらの設備で処理するかや作業順を「rapyuta.io」が判断し、ロボットと自動倉庫を連携させることで、入荷、保管、補充、ピッキング、出荷、返品までを1つのフローとしてつなげた。
新ソリューション開発の背景には、物流業界の人手不足と賃金上昇に加え、倉庫内の業務フローの複雑化がある。同じ倉庫でBtoB、BtoC、返品を扱うケースが増え、それぞれで荷姿や出荷単位、締め時間、サービス条件が異なる。
入荷トラックの遅延や人員不足、需要の急増など、物量だけでなく処理のタイミングも日々変動する。同社は入荷から出荷までの物流業務フロー全体を自動化することで、こうした課題の解決につなげる。
ラピュタロボティクスの強みは、物流現場で蓄積した運用実績と複数ロボットの群制御技術にあるという。「ラピュタPA-AMR」はピッキングアシストロボット市場で国内シェア60%以上を持ち、同社のロボットは累計約2000台が物流現場で稼働している。「ラピュタASRS」は発売から3年未満で30件以上を受注し、50種類以上のWMS(倉庫管理システム)との接続実績を持つ。
技術面では、創業チームが2010年から欧州の「RoboEarth」プロジェクトで複数ロボットの協調制御などに取り組んできた。関連する登録特許は150件以上に上る。こうした技術と物流現場で蓄積した知見を生かし、「rapyuta.io」を基盤に異なる種類の設備を1つのシステムとして制御できるようにした。

モーハナラージャー・ガジャンCEO(最高経営責任者)は「これまではAMR(自律移動ロボット)や自動倉庫など同じ種類のロボットを中心に制御してきたが、『End-to-end』では異なる種類のロボットを1つのチームとして動かし、顧客の業務を実行できることが強みだ」と話した。
物流でもフィジカルAIは注目されている。フィジカルAIは、AIがセンサーなどを通じて現実世界を認識し、判断した結果をロボットや設備の動作として実行する。物流倉庫では、形状や置き方の異なる商品を扱うほか、人や複数のロボットが同じ空間で作業するため、状況の変化に対応する認識・判断技術と安全性の両立が求められる。
ラピュタロボティクスは「rapyuta.io」で、フィジカルAIをすでに実践してきたという。同社は、パレットの認識やロボットアームによる商品認識、把持位置の計画などにニューラルネットワークを活用する。「rapyuta.io」では、機械学習や確率モデルに加え、作業手順や安全条件を意味情報として扱う「シンボリックAI」を組み合わせた。
例えば、「ラピュタAFL」はAIでパレットの位置を大まかに認識して接近し、フォークを差し込む直前にはレーザーセンサーで位置と安全性を確認する。AIによる高度な認識・判断と、ルールに基づく実行直前の確認を異なる層に分けることで、現場での安全性を確保した。「rapyuta.io」上で特定の生成AIモデルが稼働しているわけではなく、生成AIは外部のAPI(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)経由で活用しているという。
ガジャンCEOはフィジカルAIについて「生成AIは確率に基づくため、安全ルールが現場ごとに異なるロボットの実行層へ、その出力を直接使うのは危険だ。AIに高いレベルの判断を担わせ、実行直前にはレーザーやルールベースの仕組みで正しさを確認する必要がある。生成AIとシンボリックAIを組み合わせることで、ロボティクスの可能性はさらに広がる」と述べた。
その上で「将来は生成AIにジュニアコンサルタントのような役割を持たせ、物流の専門家が持つ現場分析や運用改善のノウハウを仕組み化したい。専門家への依存を減らせれば、パートナーを通じて幅広く提供し、中小規模の物流現場にもロボットを導入しやすくできる」と強調した。
ラピュタロボティクスは2027年3月まで、荷主や物流事業者から「End-to-endソリューション」の共同設計パートナー3社を募り、重点的に提案する。3社と実際の物流現場で設計・導入を進めながら、対応する工程や連携可能な設備を拡大し、その後の一般提供を目指す。








