JR東海、打音検査の自動化する「トンネル検査ロボット」のプロトタイプ開発

開発した「トンネル検査ロボット」のプロトタイプ

東海旅客鉄道(JR東海)は9月7日、打音でトンネルを検査するロボット「トンネル検査ロボット」のプロトタイプを開発したと発表した。

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「トンネル検査ロボット」の検査の仕組み

「トンネル検査ロボット」は、「接触式検査装置」を取り付けた「ロボットアーム」と「レーザ測量機」で構成。自動でトンネル壁面に接触式検査装置を押し当てて打撃を加え、振動を直接、取得してコンクリート内部の状態を評価する。

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壁面の状態をレーザー測量機で測定し、その結果でロボットアームを自動制御する

ロボットは、コンクリート内壁の形状のばらつきにかかわらず、接触式検査装置を壁面に一定の力で押し付けて、連続的に検査を実施するため、内壁と本装置の位置関係や壁面の状態をレーザ測量機であらかじめ測定し、その結果に従ってロボットアームを自動制御する。そのため、現地状況に合わせた高精度な制御が可能という。

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検査員による検査

JR東海は現在、トンネルなどの土木構造物に対し適切な検査や修繕を行うことで健全性を維持し、鉄道の安全や安定輸送を確保するため、トンネルの検査では、コンクリート表面の目視検査に加え、検査員がハンマーで壁面を打撃して内部の状態を把握する打音検査も実施している。

打音検査では壁面をハンマで複数回を打撃して、音や感触の違いでコンクリート内部の状態を評価する。ただ、高所作業による身体的負担が大きく、検査員の経験に基づく技量が求められる課題があった。

そこで、労働力人口減少への対応や作業の効率化を目的に、打音検査のロボットによる自動化の開発を進めていた。一方で、ロボットによる音を使った状態評価は、音を検知する際に周囲の作業音などの影響を受ける可能性があった。

そのため、壁面を打撃して振動をセンサーで直接取得することで、従来と同等以上の正確な検査を行う接触式検査装置を開発した。同時に、ロボットアームを活用し、移動しながら連続的に検査を実施することで、効率的にコンクリート内部の状態を評価できるようにした。

同社では、開発したロボットの導入で、検査員の身体的負担の軽減や、検査後の記録整理などを含めた作業時間を短縮し、検査の安全性と効率性の向上を見込む。また、定量的で客観的なデータを取得して評価することで、検査員の経験に依存しない正確で均質な検査の実現につなげる。

今後は2023年度末まで同社の小牧研究施設と山梨実験線で検証試験を実施し基礎技術を確立する。その後は、トンネル区間が多い中央新幹線への導入を目指し、試験を実施していく計画。また、在来線や新幹線のトンネル検査への適用も検討する。