エアロネクストなど4社、モンゴルで輸血センターと病院間のドローン血液輸送の実証

ウランバートル市内を飛行する血液を載せたドローン

エアロネクストは11月17日、Newcom Group(ニューコムグループ、ウランバートル市)、セイノーホールディングス(HD)、KDDIスマートドローンと、モンゴル国ウランバートル市で、国立輸血センター、モンゴル国立医科大学付属モンゴル日本病院間の往復約9.5kmのルートをドローンで血液を輸送する実証実験を、11月13日に実施したと発表した。

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血液を載せて国立輸血センターの駐車場を離陸し飛行する「AirTruck(エアトラック)

実証では、機体にエアロネクストとACSLが共同で開発した、物流用途に特化してゼロから開発した可搬重量が最大5kg、最大飛行距離20kmの物流専用ドローン「AirTruck(エアトラック)」を使用。通信はモビコムの4G LTE通信を利用した。機体の制御には、機体の遠隔制御・自律飛行を可能とする運航管理システムを活用し、日本からリモート監視をする体制で実施した。

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当日のドローン配送の流れ

具体的な配送の流れは、国立輸血センターの看護師が、エアトラック専用の箱に血液と医療液のパックを温度管理下の梱包で収納。エアトラックに箱をセットした後、ドローンが国立輸血センターの駐車場を離陸した。

その後、片道4.75kmの距離を事前プログラムされた通りに自動航行し、約13分後にモンゴル国立医科大学付属モンゴル日本病院の屋上に着陸して箱を切り離し配送。バッテリーを交換後に離陸した国立輸血センターの駐車場まで帰還した。

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配送された箱の血液を確認するモンゴル国立医科大学付属モンゴル日本病院の看護師

配送物は、血液パックと医療液2種の合計3種、11パックで、セイノーHDの温度管理ができる梱包のノウハウを活用し、常温と零下の2温度帯に分けた梱包で届けた。温度計測も行った。配送された箱は、モンゴル国立医科大学付属モンゴル日本病院の看護師がピックアップし、中身が無事で温度管理も問題なく送られたことを確認した。

実証の飛行は、モンゴル国民間航空庁(MCAA)、ウランバートル市、土地測量地図庁、気象環境調査庁が支援と協力し、エアロネクストの運航技術チームが徹底した実地調査と綿密な準備を行い実施した。エアロネクストによると、モンゴル国民間航空庁から正式な許可承認を得た輸配送用途の飛行は、モンゴル国内で初という。

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実証実験に使用したドローンとワーキンググループのメンバー

今回の取り組みは、9月にウランバートル市で開催した「新スマート物流シンポジウム」で、モンゴルでドローンを活用した配送網構築、新スマート物流「SkyHub(スカイハブ」の社会実装の可能性検討に向け発足を発表した「モンゴル新スマート物流推進ワーキンググループ(WG)の活動の第一歩となる。

エアロネクストでは今後、WGの活動を通じて、モンゴルで、まずはドローンを使った医療定期配送網構築を目指すことから始め、同国の社会課題や住民のニーズに沿った新スマート物流で社会インフラの整備を推進していくとしている。