NECは2月19日、整理されず不規則に配置された物品に対して精密なハンドリング作業ができるロボットAI(人工知能)技術を開発したと発表した。
開発したのは、映像を物体単位で解釈する「世界モデル」を応用し、ロボットが映像データから作業環境や自身の動作結果を高精度に予測する「時空間予測」と、「時空間予測」に基づいて最適で精密な動作を自動生成する「ロボット動作生成」で構成するロボットAI技術。
「時空間予測」で使用した「世界モデル」は、ロボットがある行動の結果、現実世界で何が起こるかを、実際に試すことなく予測が可能になる技術。自律制御のカギとなる技術として近年注目を浴びている。
同社が昨年発表した倉庫での作業内容やレイアウト変化に柔軟に対応するロボット制御AIを発展させた技術で、ロボットに適用し実行させるのは世界初という。
技術を利用することで、映像データからロボット動作に対する多様な形状の物品の動きを高精度に予測するモデルを学習し、「押す」「引く」といった精密動作を実行させることが可能。
また、作業環境に応じた適切な動作順序を高速に生成し、「置いて、押す」「引いて、取る」といった複数の動作の組み合わせを自律的でアルタイムに実行することができる。
また、ラベル付けが不要な教師なし学習が可能で、隠れた物品形状の予測モデルを効率的に学習させることができる。予測モデルを使用することでロボットが、作業環境をカメラに見えない領域まで正確に予測し、ほかの物品や障害物と衝突することのない最適な動作を自動で生成できるようになる。
NECでは、開発した技術で、これまで人手で行っていたハンドリング作業をロボットで代替できるようにする。今後は2024年度中に物流倉庫など人手に頼る作業が多く残る現場で技術の実証を進める計画。