コアは2月20日、ACSL、楽天グループと、コアが採択された内閣府の実証事業の準天頂衛星システム「みちびき」の信号認証サービス対応した国産ドローン開発で、アンチGNSSスプーフィング(なりすまし)の実証実験を実施したと発表した。
自動運転やドローンの自律飛行技術で、機体が自己位置を取得するためにGNSS(全地球航法衛星システム)が広く利用されているが、GNSS受信機の位置を狂わせ、ドローンや自動車などを本来とは違うルートに誘導するGNSSスプーフィング技術が大きな脅威となっている。
コアなどでは、このような背景を受け、「みちびき」を使ったGNSSスプーフィング対策の実用化に向け、ドローン配送サービスを提供する楽天が、埼玉県秩父市大滝地域でGNSSスプーフィングの影響下で、ドローンを活用した救援物資の配送を行うという想定で実証実験を実施。
実証にはコアが開発したサービス対応の受信機をACSLの国産ドローン「PF2-AE Delivery」に搭載した衛星の信号認証サービス対応したドローン「ChronoSky PF2-AE」を使用した。
災害で道路が寸断された場合のドローンを使った救援物資の配送を想定。自動航行が可能なレベルのGNSSスプーフィング環境下で、スプーフィング信号を遮断するとともに、ドローン操縦者にスプーフィングを受けていることを即時に通知し、ドローンの自動航行を継続し、荷物を無事に運んだ。
具体的には、道の駅大滝温泉で食料や衛生用品といった救援物資をドローンへ積み込み、秩父市大滝総合支所へ自動航行で荷物を配送している途中、GNSSスプーフィング攻撃を受けた後、スプーフィング信号を遮断し、スプーフィングを受けていることと、スプーフィング対象衛星数が少なく自動測位が可能であることをドローンの地上コントロールシステム「Ground Control Station」へ即座に通知。自動航行を継続し、荷物を大滝総合支所で切り離して、道の駅大滝温泉まで無事に戻れるかを検証した。
加えて、自動航行が不可能なレベルのGNSSスプーフィング環境下で、スプーフィング信号を遮断し、ドローン操縦者にスプーフィングを受けていることを即時に通知した後、手動運転に切り替えて安全に着陸することも行った。
この作業では、道の駅大滝温泉で食料や衛生用品といった救援物資をドローンへ積み込み、秩父市大滝総合支所へ自動航行で荷物を配送している途中、GNSSスプーフィング攻撃を受けたため、スプーフィング信号を遮断し、スプーフィングを受けていることと、スプーフィング対象衛星数が多く測位が不可能であることを「Ground Control Station」に通知。操縦者が手動運転に切り替えて安全に着陸できるかを検証した。
3社では実験の結果、ドローンがみちびきの信号認証に対応し、正しくGNSSスプーフィングを検知・遮断・通知したことを確認。サービスの優位性と安全な自動運転の実現への第一歩を示すことができたいう。
また、今回の実証は、ドローンの物流利用を想定して実施したが、開発した技術は、ドローンに限らず、自動運転技術が普及し始めている自動車や船舶の自動運転でも応用できるとしている。