パーソルプロセス&テクノロジー(東京・江東区、パーソルP&T)は、2023年度に国土交通省から受託したドローンを活用したラストワンマイルの配送実証の調査事業で成果報告を行ったと発表した。調査では、ドローン配送はコストやCO2排出量の削減効果が見込まれることが分かった。
国交省から受託したのは「無人航空機等を活用したラストワンマイル配送実証に関する調査業務」の事業。パーソルP&Tでは
9つの事業者がドローンを活用したラストワンマイル配送を社会実装するために行った「レベル4飛行」「ドローンポートとの連携」「自動配送ロボットとの連携」「新たなモビリティとの連携」の実証実験の成果を取りまとめた。
その上で、コスト比較、CO2排出量削減効果、「事業面」「技術面」「制度面」「社会受容性」の観点から整理を行い、ラストワンマイル配送の社会実装に向けて、サービス事業者や行政、サービス利用者による主体的なアクションにつなげるためのシナリオをまとめた。
具体的な調査では、既存の配送方法に対し「配送時」「実証時」「実運用時」の3フェーズに加え、一対多運航2を実施した場合のコスト削減効果を検証。
「レベル4飛行」による規制緩和による補助者や操縦者の人件費削減、「ドローンポートとの連携」「自動配送ロボットとの連携」「新たなモビリティとの連携」による配送物の積み下ろしやユーザーへの受け渡しにかかる人件費削減と、2つのパターンを想定して試算を行った。
その結果、「レベル4飛行」では実運用時、「ドローンポートとの連携」は多運航時で、既存方法の配送コストを2割程度削減できる可能性があることが分かった。
また、それぞれのフェーズにおけるコスト遷移を算出したところ、「レベル4飛行」は1対多運航の実現で、さらなるコスト削減が可能、「新たなモビリティとの連携」では、宅配車両との共同利用や乗客が使用しない空きスペースを貨物輸送に活用することで、さらなるコスト削減が可能といった、さらなるコスト削減効果が見込まれることを確かめた。
さらに、車両などを使った配送を全てドローンで代替した場合には、CO2削減率が76.5%と高い効果があるとわかった。
パーソルP&Tでは今後、ドローンが運搬できる貨物などの重量が増えることや、機体の耐風や耐水機能の強化によって、年間を通じた運航率の向上が期待されるため、さらに高い削減率が見込まれるとしている。