安川電機は11月7日、電動自動車(EV)の床面に取り付ける大容量バッテリーの組み付けに対応する、1トンの可搬質量を持ち、低床部へアクセス可能なスカラロボット「MOTOMAN(モートマン)-ME1000」の販売を開始すると発表した。価格はオープン。
ロボットは、バッテリーとバッテリーをつかむハンド部の合計可搬質量を1トンにすることで、EVのバッテリーが大容量化で増加する質量に対応した。バッテリーの取り付けには、車体床面付近の上下の狭い範囲で広い可動範囲が要求されることから、水平方向の稼働に有利なスカラ(水平多関節)機構を採用。最大リーチで2440㎜を確保した。
ロボットが装備する上下軸は2段昇降式を採用し、動作部をコンパクトにしつつ、2mとストロークを実現。また、2m超のアームの先端に1トン近い質量がある場合、ロボット全体のたわみで搬送物の水平を高精度で保つことは困難なことに対応するため、たわみによる傾斜を補正する軸を付加し、組み付け時や移載時に、相手側に対しての並行度を確保し組み付けやすくした。組み付け、搬送台車への移載、ワークの多段積み時に必要となる上下軸も備える。
ロボットが採用するスカラ機構は、ロボットアームの自重を支えるため、駆動モータでの保持が不要で消費電力を抑えられる。また、ロボットアームの旋回動作範囲が必要最小限で、周辺設備との干渉スペースを削減できる。さらに、同一可搬が可能な多関節ロボットと比べ、3.25トンと軽量なことから設置工事の負担も軽減する。
安川電機では、EV、PHEV(プラグインハイブリッド)などの電動自動車へのバッテリー組み付けや工程間やAGV(無人搬送車)へのバッテリー移載といった用途での利用を見込む。