川崎重工、介護現場への機器やロボット導入支援サービス事業に参入

川崎重工業は8月7日、人手不足などの問題を抱える介護施設に適切な介護機器やロボットの導入を支援する介護業務支援サービス事業に参入すると発表した。

新事業では、日本ノーリフト協会と協同し、介護施設や介護機器メーカーの現場の課題やニーズを把握し、サポートする介護機器やロボットを推薦する。また、新たな機器開発や現場への導入や活用、定着までを支援する。

事業は「介護機器の導入判断に必要なデータの収集と効果の見える化」「施設入居者のプライバシー保護と介護スタッフの負担を抑えた行動計測・課題特定」「現場の課題に即したコミュニティの形成と新たな介護機器の開発支援」が特長。

「介護機器の導入判断に必要なデータの収集と効果の見える化」は、川崎重工の行動計測と日本ノーリフト協会が持つ介護の知見やノウハウをかけあわせ、介護現場の課題を特定することで、課題にマッチした介護機器の選定を容易にできるようにする。

同時に、機器を導入した場合の改善効果も科学的な裏付けによるデータで提供することで、介護施設の機器導入の判断を補助する。機器導入後も行動計測は継続し、機器の定着評価を行い、導入から定着までシームレスなサポート体制を敷く。

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「mapxus Driven by Kawasaki」を活用した介護行動計測イメージ

「施設入居者のプライバシー保護と介護スタッフの負担を抑えた行動計測・課題特定」では、介護スタッフの行動計測には、屋内位置情報サービス「mapxus Driven by Kawasaki」を活用する。サービスは、既存のWi-Fi環境で得た位置情報だけを利用しており、画像など個人を特定できるデータの収集を行うことなく、施設入居者のプライバシーを確保。

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介護業務の「見える化」と「課題把握」のデータ例

一方で、介護スタッフが現場での作業のたびに手動で記録したり、個別ヒアリングを実施したりといった手間をなくし、効率的に介護業務の「見える化」と「課題把握」を行う。

「現場の課題に即したコミュニティの形成と新たな介護機器の開発支援」については、介護施設で計測したデータを、介護施設だけでなく、事業に参加し機器提案などを行う介護機器メーカーにも共有。事業に参加する介護施設や介護機器メーカーのコミュニティ形成を促進し、介護機器メーカーが現場の課題を十分に理解することで、ニーズに合った介護機器の開発につなげる。

川崎重工では現在、神戸市介護テクノロジー導入促進プロジェクトに参画し、特別養護老人ホーム「六甲の館」と、介護付有料老人ホーム「ディアージュ神戸」で、新事業の実証試験を実施している。