オリィ研究所、広島で分身ロボットで高齢者のQOL向上と障害者の就労支援する実験

「OriHime」の操作の様子
「OriHime」の操作の様子

オリィ研究所(東京・中央区)は7月9日、介護事業のシューペルブリアン(広島市)と、高齢者施設で、分身ロボット「OriHime(オリヒメ)」をコミュニケーションツールで使用する実証実験を6月から開始したと発表した。

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「ショートステイそわか可部東」での利用の様子

実証実験では、シューペルブリアンのグループ会社のSPB-NCが運営する「就労継続支援B型事業所ノマドhuB可部東」(広島市)の利用者が「OriHime」を操作し、高齢者施設の「ショートステイそわか可部東」(同)の利用者に対して傾聴やコミュニケーションを行う。

これまでの実証実験では、「就労継続支援B型事業所ノマドhuB可部東」の利用者が「OriHime」を操作し、「ショートステイそわか可部東」の介護職員の繁忙時間に施設の利用者とコミュニケーションを図ることで、高齢者が楽しんで会話に集中する機会が増えていることがわかった。この結果から、日中帯のQOL(生活の質)向上や、立ち上がり・転倒の抑止効果に効果があるとしている。

2社によると、介護の現場では日常的なケアで介護職員が多忙をきわめ、利用者との満足なコミュニケーション時間を確保することが難しい現状があり、一方で、障害のある人の就労には、さまざまなな理由で働きたくても満足のいく就業の機会を得ることが難しいという課題があるという。

そこで、今回、分身ロボットを活用し、障害などが理由で現地での就労が困難な人と高齢者施設の利用者が遠隔でコミュニケーションを取ることで、高齢者のQOL向上と障害者の就労支援を同時に解消する目的で実証実験を行うことにした。

実証実験は8月末まで実施。2社では、実験を通じて、高齢者施設のさまざまな種類の課題解決に向けた検証を行っていくとしている。