F.MED、マイクロサージャリー支援ロボット開発で4.3億円を資金調達

F.MEDが開発する「マイクロサージャリー支援ロボット」(左)と設置イメージ
F.MEDが開発する「マイクロサージャリー支援ロボット」(左)と設置イメージ

マイクロサージャリー支援ロボット開発ベンチャーのF.MED(エフメド、福岡市)は7月8日、シリーズAラウンドで、FFGベンチャービジネスパートナーズなど7社が引受先となり、第三者割当増資で4.3億円の資金調達を実施したと発表した。

F.MEDでは、調達した資金を製品開発に加えて、医療機器承認取得に向けた試験の実施や組織の拡充などに使用する。今回、既存投資家であるのFFGベンチャービジネスパートナーズ、大分ベンチャーキャピタルに加え、新たにダイヤモンド・メディノ・キャピタル、スター精密、JMTCキャピタル、肥銀キャピタル、三菱UFJキャピタルが出資した。

F.MEDが支援ロボットを開発する「マイクロサージャリー」は顕微鏡を使い、直径1mmに満たない血管や神経などを手作業で縫ってつないだり、腫瘍を摘出したりする手術の技術。

がん治療の後遺症であるリンパ浮腫(むくみ)の治療や、がん手術や事故で生まれた体の欠損を移植で治すことや、詰まりそうな血管を回避するための迂回(うかい)路(バイパス)の作成など、人の生活の質(QOL)や予後を劇的に改善させる手術に活用できるという。

同社では、マイクロサージャリーが行える独自開発したリニアモーターを活用し駆動する微細作業用マニピュレーターを搭載したロボットの実用化を進めている。ロボットは医師が操作し、微細作業用マニピュレーターがその操作を20分の1等に縮小するなどしてし、手振れを制御して忠実に再現し手術を実施できる。

ロボットを活用することでマイクロサージャリーに求められる極微細な器具操作がよりやりやすくなり、手術成績や安全性の向上や、今までは習得に年単位の期間が必要だった訓練期間も大幅に短縮できるとしている。

今後は、開発中のロボットの医療機器承認取得を早期に完了させ、まずは安全で有効に動作するロボットを患者の治療に使ってもらえる状態を目指す。将来的には遠隔医療や術者の判断支援など、使いやすく、手術の安全性や有効性を高め、医療技術の標準化にもつながる付加機能の開発にも取り組む計画。