DFAロボティクス(東京・港区)は10月30日、ワタミ、飲食店向けアバター接客サービス開発のアバターダイニングラボ有限責任事業組合(ADL、東京・品川区)と、アバターと配膳ロボットを使った完全リモート接客の実証実験を、ワタミが運営する居酒屋「ミライザカ横浜西口駅前店」(横浜市)で、11月1日から開始すると発表した。外食業界では初という。
実証実験では、ADLのアバターシステムとDFAロボティクスの配膳ロボット「KettyBot(ケティボット)」を連携し、リモートで働くスタッフが、店舗にいるかのように店内を動きながら顧客を接客。注文やおすすめ商品を案内するほか、料理の配膳や下膳を行う。11月29日まで実施する。
3社は、実験を通じて、アバターが顧客一人ひとりに合わせた丁寧な接客を行い、料理やおすすめを説明する「個別化接客」や、配膳ロボットがスタッフ同様に店舗を歩き回って接客することで、既存スタッフの負担軽減とサービスの効率化を図る「効率的なオペレーション」、時間や場所に縛られない働き方を可能にし、多様な働き方を求める人材の確保につなげる「新たな働き方の創出」を検証する。
ワタミはADLと、スタッフの負荷軽減と業務効率化を目的に、卓上にタブレットを設置し、アバターがリモート接客を行う実証実験を2024年7月から8月に実施。アバター1名で約20テーブルの接客が可能なことと、顧客から好評で客単価が約3%向上したことを確かめた。
2社は実験の結果からアバターによるリモート接客が、人手不足の解消や顧客満足度の向上に役立つとみて、DFAロボティクスを加え、アバターと配膳ロボットを連携し、効率的で個別化されたサービス提供の実証実験を第二弾で行うことにした。
3社は、今回の実証実験で得た成果をみながら、アバターを使ったリモート接客を人手不足に悩む飲食業界の新たなソリューションとして提供することを目指す。また、ソリューションをリモートワークの普及に伴い、時間や場所に縛られない働き方を求める人の雇用機会創出にも役立てる。将来的には、多言語対応や専門知識を生かした高度な接客などのサービスを提供し、小売りや観光、自治体などへの展開も視野に入れている。