飛島建設は6月6日、KDDIスマートドローンと、非GNSS(測位衛星システム)環境下やモバイル通信不感地域でも運用可能な全自動型ドローンと衛星ブロードバンドインターネットを使ったインフラ遠隔自動点検システムを開発したと発表した。
開発したのは、あらゆる場所でのドローンの自律飛行、遠隔でリアルタイムな飛行制御や映像配信、空撮データの一元管理と空撮データを基にした物体検出・変状検出が可能な自動点検システム。「ドローン部」「ネットワークインフラ部」「エッジ部」「クラウド部」で構成する。
「ドローン部」は、米ドローンメーカーのスカイディオの機体「X2」とローン基地局「Skydio Dock for X2」を採用し、非GNSS環境下でも屋内外でドローンの遠隔自動運用を可能にした。
「ネットワークインフラ部」は、米スペースXが開発しKDDIが提供する法人向け衛星ブロードバンドインターネット「STARLINK BUSINESS」と、IP65メッシュWiFiアクセスポイントを採用。モバイル通信不感地域でも高速で低遅延、シームレスなインターネット通信環境を広域で構築できる。
「エッジ部」では、ドローンの遠隔管制向けに「リモート管制システム」を開発。「Skydio Dock for X2」の周辺の気象データや映像データの取得、警告灯による離着陸時や第三者接近時の警告発報をできるようにすることで遠隔自動運用を実現した。
「クラウド部」も、ドローンセンシングのプロセス一元化を目的にシステムを開発。リモート管制システム取得データのダッシュボード表示、空撮データの専用クラウドサーバへの自動アップロード、機械学習を活用したアルタイム物体検出通知、変状検出、機能のプラットフォーム統合に対応する。
飛島建設では、有効性検証で、共同で発電事業を行うオリエンタルコンサルタンツと、米沢大平小水力発電所(山形・米沢市)で実証実験を実施した。具体的には小水力発電所施設の遠隔・自動点検でシステムの有効性を検証。実験の結果、非GNSS環境下でもドローンの安定した運用が可能など、効率的に高度な点検を遠隔自動で行えることを確かめることができた。
今後は、人手不足や生産性向上といった建設工事の課題を解決する手段として、工事現場で、屋内外を問わずシステムの活用を進める。また、AI(人工知能)検出精度向上や検出対象の拡大、ほかのドローンやロボットとの連携なども目指す。