パナソニックホールディングス(HD)は10月29日、環境省所管する公園の新宿御苑(東京・新宿区)が、11月7日から12月8日に行う、福祉的就労支援の移動型無人販売の実証実験に遠隔操作ロボットを使った移動型無人販売サービス「PIMTO(ピムト)」を提供すると発表した。
パナソニックHDでは、実証実験で、移動型無人販売ロボットの活用と訪日旅行者の満足を高めるロボットの企画、仕様策定、福祉的就労の支援、運用支援アプリケーションの提供に取り組む。
移動型無人販売ロボットの活用では、移動可能なロボットの特性を生かし、季節や天候、イベントなど需要の変化に合わせて柔軟に販売場所を変えて販売を行う。また、ロボットは常時移動する必要がないことから、自律走行と、その事前準備などが不要と判断した場合には、ロボット本体やサービス運用のコストを考慮し、遠隔操縦のみで運用する。
訪日旅行者の満足を高めるロボットの企画は、新宿御苑が海外からの旅行者も多いことを受け、インバウンド客のニーズ抽出などのマーケティング調査と、販売する商品の企画支援、購入時の体験価値を向上させるロボットの企画と仕様策定を行い、来園者の増加や満足度向上、事業者の売上増につなげる。商品は、国民公園協会、セールスプロモーション企画などのマッシュアップ(東京・墨田区)、電通と共同で企画し開発したメロンパンを「御苑のOYATSU」として販売する。
福祉的就労の支援は、福祉施設と連携し、ロボットの遠隔操縦を活用した移動業務や、販売商品の梱包作業などを行う。運用支援アプリケーションの提供については、在庫補填や商品入替、移動の依頼などができる運用支援アプリ「PIMTO UI」を開発し提供する。また、ロボットはTISの駆動シャーシ部品を採用しており、シャーシに付随するソフトを使用し、ロボットの遠隔操縦や位置情報の確認などができるようにする。
新宿御苑は、1949年からの一般公開以来、約1億人の来園者が利用。近年では訪日旅行者の増加に伴い、2023年度には過去最多の約250万人超の来園者数を記録した。公園では今後も来園者の増加を見込んでおり、サービスの質を維持しながら来園者の満足度を高めるために、公園の魅力が伝わる商品の購入機会を増やすことと、働く視点でのユニバーサルデザイン支援を目的に実証実験を行うことにした。
「PIMTO」は、パナソニックHDのモビリティ事業戦略室の「MOPTIMO(モプティモ)」プロジェクトが展開するサービス。同社では、新宿御苑の実証実験を通じて、顧客価値や原価試算、運用の実現性などを検証し、サービス提供価格を見極め、今後の本格的なサービス開始を目指す考え。