NTTは10月2日、東京大学と、ドローンの航法精度を向上させる周囲環境の情報を伝える標識で機能する「ミリ波RFIDタグ」を開発したと発表した。
開発したのは、ドローンに搭載可能な小型のミリ波レーダを使って、空中から広範囲で位置と情報を読み取れるバッテリーが不要なRFIDタグ。可視光に比べて天候の影響を受けにくいため、暗闇や悪天候といった視界不良状況下でドローンの航法精度を向上することができるという。
開発にあたっては、従来のミリ波RFID技術が抱えていた、読み取り範囲の狭さや周辺構造物の影響で読み取り性能が低下するという問題を解決するため、タグの構造設計と信号処理手法を新たに確立した。
NTTによると、これまでのドローン航法・飛行誘導の手法に比べ、視界不良下でも機能し、電源を設置できない場所でも利用できる点で優れているという。同社では、技術を活用することで、電源の設置が難しい未踏領域でも全天候型ドローンの自律的な活動を可能にして災害対応や気象予測の高度化を図る。
今後は、ミリ波RFIDタグの誘導技術を利用し、暗闇や悪天候といった過酷な環境下でドローンの自律的な運用を可能にすることで、災害対応や海洋観測の高度化の実現を推進する。また、物流や医療などのパートナーとの連携にも取り組む。
最終的には、ドローンだけではなく多様なIoTセンサーで構成する、空のセンサネットワークによる未踏領域の情報把握に向け、ハードからソフトまで最適化したシステムの実装を目指す。