東急、鉄道の点検・検査業務で四足歩行ロボット導入し技術検証を開始

東急が導入する米ボストンダイナミクスの四足歩行ロボット「Spot(スポット)」
東急が導入する米ボストンダイナミクスの四足歩行ロボット「Spot(スポット)」

東急は2月21日、米ボストンダイナミクスの四足歩行ロボット「Spot(スポット)」を4月からを導入し、鉄道の点検や検査業務の高度化・効率化の技術検証を開始すると発表した。「Spot」の恒常的な導入は、国内の鉄道業界では初という。

検査員が行っている電気設備や車両搭載機器の点検と検査業務を、ロボットが搭載したカメラやセンサーで機器設備の状態を把握することで高度化と効率化が図れるかを技術的に検証する。

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検査で変電所内を巡回するロボット

検証では、東急電鉄の元住吉駅周辺の変電所と車庫を対象にロボットを導入。変電所の定期検査で行う電気設備のメーター読み取り業務を、ロボットが撮影した画像から正しく読み取り行えるかを検査員が確認する。

また、現在は人の目で行う設備の外観検査などをサーモグラフィーカメラで数値化することで、定量的な評価による検査結果に変更が可能を確かめる。さらに、現場で作業員が行っているガス漏れ検査を、ロボットに搭載する超音波カメラでガスの漏れの位置を特定して可視化し、定量的に評価できるかを確認する。

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ロボットが車両検査を行う様子

一方で、元住吉駅周辺の車庫で行う検査でもロボットを導入する。ロボットが、撮影した画像から車両搭載機器の取り付け状況や摩耗状況を正確に確認できるかを検証する。同時に、人による検査時間の減少や負担の大きい作業の削減といった労働環境の改善に役立つかも確かめる。

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ロボットの技術検証や活用などの実施フロー

東急ではロボットの利用方法の探索も行う。これまで、データ取得に時間がかかることで実施頻度に限界などがあり実現できなかった3D点群データの測定や3Dモデル作成機能をロボットの活用で実現。検査、工事、企画、異常時対応などの業務で活用方法の検討する。同時に、鉄道事業で点検や検査業務の高度化と効率化に役立つロボットの活用方法を部門横断的に探索する。

今後は、2026年度以降に技術検証エリアやロボット導入対象業務を拡大。また、AI(人工知能)画像解析システムなどを活用し、数値化と検査表への自動入力すると共に、点検・検査業務で取得した画像やデータをシステムに蓄積して可視化することで、点検頻度と時期を適正化し故障を未然に防止する技術の検証を行う。加えて、グループ会社とロボットを活用した業務の高度化と効率化のノウハウの連携にも取り組む。