セイノーHDなど4社、岩手・岩泉町の地域課題解決策でドローン配送の実験

菓子とドリンクを搭載し着陸する物流専用ドローン「AirTruck」

セイノーホールディングス(HD)は2月15日、岩手県、岩手県岩泉町、エアロネクスト、ネクストデリバリー、KDDIスマートドローンと、岩手県中山間地域でのドローンを活用した地域課題解決の実証実験を、岩泉町で実施したと発表した。

今回の実証実験では、人口減少や少子高齢化が進む、岩手県の中山間地域で買い物困難者への対応、2024年問題で懸念される物流停滞、災害時の孤立問題といった急務な物資輸送の課題の解決するためのドローン配送の社会実装に向けた検証を行った。

実証での機体にはエアロネクストが開発した物流専用ドローン「AirTruck(エアトラック)」を使用。体の制御には、KDDIスマートドローンが開発したモバイル通信でドローンの遠隔制御と自律飛行を行うシステム「スマートドローンツールズ」の運航管理を活用した。

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猿沢地区の事業者への配送では岩泉自動車運輸と連携

実証当日は、2回の配送を実施。1回目は、地元の岩泉自動車運輸と荷主の協力を得て、中山間地のラストワンマイルをドローン配送することを想定し、岩泉町役場から猿沢地区の荷受人の敷地まで片道で約9.1㎞の距離をドローンが約26分で飛行し、受託した社内間の書類を届けた。

2回目は、買い物不便を想定し。岩泉町役場小川支所から救沢公民館までの片道約2.5㎞の距離を、ドローンがお菓子とドリンクを約6分で配送した。

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実証実験に参加した岩泉町やセイノーHDなどの関係者

岩泉町は、狭隘な山間地に基幹地区と小規模集落が点在しており、2015年の時点で、食料品アクセス困難人口の割合が県内で唯一40%を超え、全国の平均24.6%と比べても非常に高い水準となっている。

また、町の中心部の岩泉地区から主な基幹地区のうち、安家地区までは急勾配が続き、車で40分、有芸地区までは狭隘な道を車で35分かかるなど、買い物などの日常サービスの利用が不便なことが課題となっている。

こうした背景を受け、同町ではドローンを買い物弱者に対する日常生活の利便性確保や、岩手県産業の生産性向上などの手段として活用を検討。今回、実証実験を行うことにした。一方、セイノーHDなどは、今後も地域住民のドローンへの理解促進と地域課題解決に向けてドローン配送などの物流サービスの社会実装に向け取り組んでいくとしている。