ワコール、ロボットとメルトブロー法を使った立体物製造技術「Melooop」開発

「Melooop(メループ)」を使ったブラジャーのカップ部分の生産
「Melooop(メループ)」を使ったブラジャーのカップ部分の生産

ワコールホールディングス(HD)子会社のワコールは1月29日、ロボットと「メルトブロー法」と呼ばれる製造手法で立体物を製作する技術「Melooop(メループ)」を開発し、ブラジャーのカップ部分の生産技術で実用化したと発表した。

「Melooop」は、不織布を作る手法「メルトブロー法」で立体物を作製する技術。「メルトブロー法」は、原料の樹脂を熱で溶かして紡糸ノズルから押し出し、高速の熱風で引き伸ばすことで極細繊維化し、同時に繊維同士が熱融着することで接着剤などを使用することなく、不織布を作ることができる。技術は2020年に開発に成功し、ワコールマニュファクチャリングジャパンでブラジャーのカップ部分の生産技術で実用化した。

0129wacoal2 - ワコール、ロボットとメルトブロー法を使った立体物製造技術「Melooop」開発
ロボットの動きで吹付口からの距離や吹き付ける場所、時間を変化させることで立体的に成型する

実際の生産では、約6平方メートルのスペースに、吹付装置と3体のロボットアームを設置し、吹付装置に対してロボットの軌道を精緻にコントロールすることで、かたちや厚み、伸度を調整する。「Melooop」で、ファブリックを成型する際には、カットされた不要なパーツも再び原料にすることが可能で、廃棄材料をゼロにできるという。

0129wacoal3 - ワコール、ロボットとメルトブロー法を使った立体物製造技術「Melooop」開発
完成したカップ

ワコールでは、インナーウェア以外で技術の活用する取り組みも実施。2024年から経済産業省が主催する「みらいのファッション人材育成プログラム」に参画し、「Melooop」を使ったファッションアイテムの製作を行い、ファッションブランド「doublet(ダブレット)」との協業アイテム3点を、2025年秋冬パリ・ファッションウィークにて発表した。同社では今後も、ファッション分野以外で「Melooop」の活用も視野に入れ、技術開発を進めるとしている。