中国アジリスロボ、新型の管腔内視鏡手術支援ロボットで膀胱腫瘍一塊切除に成功

管腔内視鏡手術支援ロボットを使った膀胱腫瘍一塊切除術の様子
管腔内視鏡手術支援ロボットを使った膀胱腫瘍一塊切除術の様子

中国の軟性型手術支援ロボット開発のAgilis Robotics(アジリスロボティクス)は7月22日、新型の管腔(かんくう)内視鏡手術支援ロボットで、遺体を使った膀胱(ぼうこう)腫瘍一塊切除術の実験に成功したと発表した。

「膀胱腫瘍一塊切除術」は、切開ではなく経尿道的に膀胱にアクセスする低侵襲の術式として採用が進む手術。アジリスでは泌尿器科医が手術を行う際に支援するロボットの評価を行うことを目的に実施した。

新たに開発した管腔内視鏡手術支援ロボットは、管腔内視鏡手術用の軟性型の器具として設計。器具の直径は2.8mmから3.5mmと小型で、5度の可動域があり、組織切除の複雑な手術を正確に自然孔から行える。実験では執刀医が、膀胱頂部など、従来の器具では一般的に切除が困難だった部位の組織を一塊切除できた。

ロボットは、1つのシステムで、内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)と、膀胱腫瘍一塊切除術(ERBT)に対応しており、膀胱と消化管の両方で効果的な一塊切除術を支援できるようにすることで、膀胱だけではなく消化器系(GI)の管腔内視鏡手術での使用も視野に入れている。

同社では、ロボットシステムのフィジビリティ(実行可能性)を評価するファースト・イン・ヒューマン(FIH)試験を実施する計画。まずは、膀胱の適応で、年内に米国食品医薬品局(FDA)に申請を提出する。その後、中国国家食品薬品監督管理局(NMPA)への申請も行い、上部・下部消化管、咽喉、婦人科、そのほかの領域でも申請を提出していく考え。